re.cord {two-hundred-two}
私達は少し入り口で話した後、目の前に現れた金髪美人シスターさんとメイサさんの案内で、綺麗に舗装された石畳の通路を歩いていく。通路の脇には見たこともない種類の木々が綺麗に植えられていた。
葉っぱが青と白が織り混ざった不思議な木………リンゴみたいな物もなっているけど、紫色で毒々しい感じが伝わってくる。食ったら即死しそうなものだ。
「メイサさん、あのリンゴみたいなヤツって食えるんすか?」
「食べれますよ。深海ならではの気候で、植物も独自の進化をしているので。それゆえにアトランティス大陸以外では育たないため、かなりの希少価値が高いものです。修道院の収入源の一部にもなっていますね。私達はお布施という制度を取っていないので、運営費や人件費などは貿易によって賄っていますね。お布施に関しては0というわけではないので、そちらも……まぁ、ありますね。断っても勝手に振り込んでいるので」
「それだけ素晴らしい組織ってことじゃないですかね?」
「まぁ、そう見えるんですかね?」
「どんな組織にも光もあれば闇がありますから。どっちが表面的に出てるかってものですよ。総督府に関しては闇の方が最近表に出てしまっているし、それを矯正しようともしないので、手遅れになっている段階ということもあるので、私達が介入して組織ごと解体しようということです」
「最前線組というのも、大変なのですね………」
「私が最前線組になったのは戦争がしたいわけではなく、そのネームバリューと特権にしか興味がないので。それでいて自由度も高い位置でもありますから。今になって行動したのは、ある程度の繋がりや力を蓄えていた期間でもあったので」
「初めて聞いたかも。優姉ちゃんが最前線組に入った理由。別に最前線組に入らずとも出来そうなことなのにな……って思ったのに」
「総督府所属の最前線組となれば、実質上の総督府のトップみたいなものだから。普通に組織の上層部よりも決定権があるから。優香みたいに誰の意見にも左右されないタイプは、自分で何でも決めて動いちゃうから。実力も高いから食い止めることも出来ないしね。国家権力すらも敵わない力を持っている組織の事実上のトップとなれば、その権力や名誉にあやかろうとする人間が自然と一気に集まる。優香が動き出すための基準を満たしたから、今に至るってことじゃない?優香もまさか、大学通っている間に動くなんて思わなかっただろうし。意外と長い目で見るタイプの人間だから」
「へぇー、そこまで考えてるんだー。でも、そうじゃなかったら、ここまで行き着くことも無理か」
「他人の視線を一切気にしない優香だからこそ出来ることだよ」
「私だって最低限は気にするよ。あまりに自分勝手にやるわけにもいかないから」
「今でも抑えてるんか」
「意外と空気読めるからね。優香は」
「あえて空気を読まないっていうことが常に狙って出来る時点でヤバイけどね。良い意味………とも言えないしな」
「良し悪しで世の中決められないもんだよ」
「うーん………」




