re.cord {one-hundred-seventy-six}
優香は吸っていたgloのカートリッジをゴミ箱の中に捨てると、本体をテーブルの上に置いてソファに寝転がってスマホをいじり始めた。あくびをしてズボンの中に手を突っ込んでケツ掻いてる。
本当にオッサンなんだよな……女捨てすぎだろ。
ソファに寝転がるまで良いとしても、ケツを掻くなよ。「んぁぁ………」とか汚い声出しているし。
優香のこういうところを見ると、優香って生まれてくる性別を間違えたんじゃないのかなって思っちゃう。
私もズボラと言えばズボラだけど、ここまで酷くはないよ。一応は誰かが見ているような空間でケツ掻いたりしないよ。
それと、お前も一応はラノベヒロインだっていう自覚あるのか?準主人公ってポジションなのに、そんな……ソファでケツ掻いてるってどうなの?
「で、優香。今日はどうするの?」
「祐の……アレだよ。情報次第かなってところ」
「リスト潰しはやらないの?少しでも余計なのは消していった方がいいかなって思うんだけど」
「嫌、そっちの方は佳織さんから「一般人の死亡率が高くなりすぎだ」って母親のことを詰めて止めさせたから。いくら一般人側の任意で参加させたとは言えども、戦闘力皆無の人間を戦争に放り込んで滅茶苦茶死なせてるんだから。どういう理由があれど、泳がしておくわけにもいかんでしょってことで」
「そもそも、そうなるのに仕組んでたんじゃないの?優香のことだから、そうなることも踏まえた上でってことでしょ。優香の性格なら、本当に全滅させる気なら丸一日費やしてでも、どんだけ体が疲れ果ててもやるでしょ。疲れたとか言って帰るし、夜中に出掛けた様子も無かった。何よりものんびりと朝飯作ってる時点でおかしいなーって思ってたよ」
「そこまで見透かされてるとは思わなかったな……」
「ちぃねぇって本当に直感鋭いよね。動物並みだよ」
「流石に佳織さんから言われたんじゃ止めないわけにもいかないしね。リストの方は全部無くなったよ。その依頼書とかも全部抹消されているみたい。ただ、データとか改めて見ると、リストの半分は死んでいるらしいから。多分、芽郁さんとか……おそらく、楓組の方でも色々と動いていたのかもしれない。母親に悟られないように。多分、あえて死亡率を引き上げて余計な動きをさせないようにしたのかもね」
「主導なのは………綾音さんか、美紅さんか」
「どうだろうね。どっちもっていうのが正しいかも。私達に協力してくれるとは言っても、向こうの具体的な行動までは把握していないし。私も深くは聞かないようにしているし。結果さえ何とかなっていればなんでもいいかなっていうのはある。過程を知ってもね………流石に私も知りたくないことはあるから。それ込みでのやり方を向こうはしてくれてるから」
「優香………」
「戦争は隣に居て、話している人間が、一分一秒後には平気で居なくなっているっていうのが当たり前っていうのを、本当に再認識したよ。それを自らの手でやることになるんだ……っていうこともね」
「………………………………」




