re.cord {one-hundred-twenty}
地上に出て、極相林を抜けてから辺りを見渡す。
辺りは雪のように真っ白な砂の砂漠があって、小さな池が点在がしているってところか。視界自体は開けていて死角は少ない。
ここら辺にいるはずだから……ワンチャン地面にも潜っている可能性もあるな。魔術で横穴を作って地面の中から私達に近づいて不意討ちでも狙ってるのだろうか?
ちょっと炙り出すか。
「あれ?誰も居ないね。こんだけ何にも遮るものが場所なら、誰か居るならすぐに分かるはずなのに……気配だけなら近いし」
「地面に潜ってるかもしれないから。ちょっと爆破させてみる」
「おけおけ。私達は空の方から攻めてみるわ」
「分かった。よろしく。空の方に居たら、何か適当に合図送ってくれれば向かう」
「は~い、よろぴく~」
「”水遁・龍脈大瀑布”」
私は地面に両手を当てて遁術を発動させた。地面に大量の水を流し込み、今の位置から見える地平線に届くか届かないあたりまで水を張る。
仮に横穴を作っていたとしても、そこが冠水しても溺死するような人達じゃない。水中でも息が出来るようにしているか……それか、空に逃げてたかのどちらかだろう。
水を張ると、両手に構えた刀を地面に突き刺し、両手に火を纏った。そこから水を張った全範囲に火を流し込んだ。
その火力で水が沸騰して地面が波打っている。かなり深いところまで水を浸透させているから。浅く狙うよりは深く狙った方が炙り出せる確率が上がるが……
あまりに砂を空中に舞わせると、下手したら優香までも巻き添えにしかねない。それくらいで優香がどうにかなるとは思っていないので、そこまで細かい調整はしていない。
「皇血術式、”火蒼流葬”」
詠唱と同時に波打っていた地面が大爆発を起こした。私を起点として砂が空高く壁のように吹き上がり、私の全ての視界が砂に囲まれるほどだった。
視界が悪くなっても相手の気配を辿って殺すことは容易だ。死角が増えたところで私の隙が増えるなんていうことは無い。そうだったら、こんな自殺行為に等しいことはやるわけがない。
舞い上がった砂の中の気配を辿ってみたが、誰一人として気配を感じなかった。気配自体はあるけど、少し距離があるような感じた。
おそらく……空に飛んだな。
上を向くと、真っ赤な一筋の閃光が見えた。優香の幻魔術だ。あえて光る術式を使ったっていうことは……結憂さん達のクローンは空に逃げたっていうことになる。
場所は絞り出せた。後は逃がさないように殺すのみだ。
「”風遁・天使翼擊”」
私は背中から赤の半透明の左右それぞれ3枚ずつ羽根を出現させて、素早く優香の居るところまで飛んだ。
私が飛んだ衝撃で舞い上がっていた砂の天井に穴が空き、その先には優香と交戦している中学生くらいの優寿さんの姿があった。
何やら黒い服を着ているようだが……優香がそこまで苦戦しているわけではなさそうだ。
「はぁぁっ!!!!」
「おっ、千春。早かったね」
「のんびりしているのは嫌いだからさ」
「それな~」
「らぁっ!!」
「………………………ッ!?」
私が下から優寿さんを逆袈裟斬りで斬り付けた。
優寿さんの体は斜めに上半身と下半身に分かれて、まだ舞っている砂の中に消えていった。
まずは……1人か。
「ふぅ~♪ワンパン♪ワンパン♪」
「優寿さんは最前線組でも最低ラインの方だしね。術式使えば何てことないよ。だからって余裕綽々ってわけじゃないけど。たまたま不意討ちできたから瞬殺できたようなもん」
「なんでもいいんちゃう。殺れれば」
「それはそうね」




