re.cord {forty-three}
そんなヤバいものを開発していたのか、そんなヤバいを平気で着て、自分の体で色々と試すことから始める優香の脳筋っぷりにはドン引きだが。
もう少しは自分の体を大切にするって意識を持った方がいいと思う。そもそも、なんで強度を試すためにそこら辺にあった刀で自分の腕を切るって発想になるのかな?
優香の術式を使えば切れたとしても、くっ付けることは簡単なのかもしれないけど。そういうことじゃないんだよな……
優香は「ちょっと痛いだけ」というかもしれないけど、そんな優香を知った私の心が痛いのを分かってほしいよ。
「本当に、無駄に危ないことしないでよ……」
「悪かった。悪かっーたってば。ほらっ、1個あげるから」
「要らないんだけど………」
「良いじゃん。特にデメリットあるわけじゃないじゃーん?どーせ、口ではそう言いながらも明日くらいには付けてるんでしょ?」
「……………………………………………………」
「否定しないあたり、そういうとこ、可愛いぞい♪」
「うるせぇ」
「ははは~♪じゃあね~♪」
「ちょっ………もう!!」
結局、置いてくんかい。
優香からパワードスーツ?になるであろう小さな箱をズボンのポケットに入れて外の喫煙所と向かった。ここで一服しているものかと思ったけど、本当に家に帰っちゃったみたい。
喫煙所にも居ないし、辺り一帯で優香の気配を探ってみたけど……ヴァルドヘイムからは優香の気配はしなかった。
本当に帰りやがったよ。置いていくなよ!!
とは要っても、ストーカーみたいにしつこく追い掛け回す気にもならないからな……
多分、家に居るんだろうな。以外とインドアなところがあるし。今頃シャワーでも浴びてるんじゃないのかな。
外出したら真っ先シャワー浴びるから。意外と綺麗好きというか……そういうところがある。
優香が何をしているのか妄想しながら、IQOS吸っている。近くに居る、結憂さんと同じ年くらいのオジサンバーサーカーがタバコを吸いながら異界貴族九刃について話していた。
異界貴族九刃という存在だけは末端にも伝わっているようだね。
「異界貴族九刃を倒すなんていう実力者、ヴァルドヘイムに居たんだな。第三次世界大戦、クババ決戦の時の最前線組すらも成し得なかったことなのに」
「しかも、単騎討伐だったらしいな。未知の脅威を一人でやっちまう奴なんて……美紅さんですら無いというのが驚きだよ」
結憂さん達の世代の戦い、クババ決戦とか言われてるんだ。
そういうこと、あまり覚える気にならないから表面上の情報には疎いんだよな。情報に必要なのは種類とかじゃなくて、必要なことでありつつ、それについての内容の深さだから。
こういう系の話を振られると知らないから、なんて返せばいいか困るんだよね……
多分、オジサンも知らない女子大生に世の中の表面的なしょーもない情報の話とか振らないも思うけど。
「噂すらも出てこないからな……」
(優香のことだな。単騎討伐っていうのは)
情報はしっかりと管理されているのか。
まぁ、女子大生一人が異界貴族九刃を2人も討伐したなんていう事実が広まったから、ヴァルドヘイムが丸ごと混乱するだろうしね。
そんな都合の悪いこと、末端に言うわけもないか。




