『46』 爆発の斧使い
《私がそこの小娘なんかに怯えているだと?フハハハ………そんなわけ無かろう。街の爆破は、あくまで余興。お前らを驚かすためのサプライズと言ったところだ》
「誰もそんなの求めてねぇから早く出てこいよ!!」
《ならば…………お望み通り!!》
「うん?…………ッ!?」
____ブォン!!ゴォォォォ………!!____
「おっふ……!!ゲホッゲホッ……!!砂埃が……!!それと何か熱い……!!熱風……?」
また謎の声が聞こえてきて、その声の人に対して話していたら、目の前で急に激しい熱風が吹いてきて、更に砂埃までもが舞っていて、マトモに目が開けられずにいた。
地味に熱いし痛いし………いちいち要らないパフォーマンスをしているくるんだね。こういうタイプの人、私は嫌いだなぁ………無駄に目立ちたがる人って居るじゃん?そういうのって、私は見ているだけで冷めていくからさ。
熱風と砂埃が収まり、ようやく目が開けられるようになって正面を見てみる。
正面には、髭を生やした、いかにもナルシストっぽい人が腕を組んで怪しい笑みを浮かべながら立っていた。灰色の髪で、髪全体がちぢれ麺みたいな髪型をしている。あれって天然のちぢれ麺スタイルなのかな?
後、凄い前髪をいじっているし。そんなに前髪が気になるんだったら切り落とせば良いじゃん。前髪無くした方が格好良くなるかもしれないよ?
「どうも、白銀の髪を持つ二刀流の女剣士。アヤヒと言ったかな?見た感じ、竜を倒すほどの実力を持っているようには見えないのだけれど?」
「人は見た目で判断するもんじゃないよ?このナルシスト」
「君だって、私のことをナルシスト……そう決めつけているだろ?ハッキリ言わせてもらおう。私はナルシストなんかではない!!ただ単に自分が大好きすぎて仕方が無いだけなんだ!!」
「嫌、それを世の中じゃナルシストって言うんだけどな」
「とんだ自己陶酔野郎だぜ………」
出てきてくれたのは良いんだけど………それはそれで面倒な事になっちゃった。
あんな風に自分のことをアピールしてくるなんて……ナルシストの中でも、かなり重症な方のナルシストだよ。もはや病気のレベルだと思うよ。
私達は目の前のナルシストを見て、引くことしか出来なかった。そんなことを一切気にすることなく、色々と何か喋って自分のことを私達にアピールしてくる。
どうでもいいから聞き流している。そのお陰で喋っている内容が全然頭に入ってきてないんだけどね。こんな話、頭に入れたところで邪魔になるだけだしね。
そのナルシストは、自分のことを話すのをピタリと止めると、背中にある大きな斧を抜いて私に対して突き付けてきた。その後に前髪をフワッて軽くかき上げた。
何だろうね………行動の一つ一つがウザい。凄い………まではいかないんだけど、何となくって感じで腹が立つんだよね。
私もとりあえず、剣を構えて戦えるようにした。
「ほう、それだよそれ。その二刀流を私は見たかったんだよ」
「男の癖に、普通に喋るときの自分のことの呼び方が″私″って………その時点でもナルシストっぽい」
「好きに呼ぶがいいさ。さぁ!!戦いを始めようじゃないかぁぁぁぁ!!」
____カチンッ…………ドゴォン!!____
「………………………ッ!!??」
「″燃焼閃光加速″!!」
「ヤバっ………!?アヤヒ………ッ!!」
「かの有名な爆発の斧使いこと、シルエル・ヴェザード・マキリアルは………私だ!!」
(存じませんけども………!?)
ナルシスト、改めシルエルさん。シルエルさんは、自分の足下の周りを爆発させることで一気に加速して超高速で私に突っ込んできた。
その加速したままの状態で斧を振ろうとしてきて、防ぐのがギリギリかと思ったけど、ラークさんが手前でその斧の攻撃を受け止めてくれた。
でも、その攻撃の威力に耐えられずにラークさんは吹き飛ばされる事になった。近くにあったゴミ箱に吹き飛ばされて苦しそうにしていた。
その瞬間に、ユーリさんがシルエルさんの後ろに回って素早く剣を振り下ろしたけど、それも簡単に斧で弾かれてしまった。そして、ラークさんと同じく吹き飛ばされた。
「おごっ………つ、強すぎるぞ…………」
「はぁ………はぁ………何て威力だ………」
「ハハハハハ!!どうだ!?見たか!?味わったか!?分かったか!?これが私のスキルと斧の実力だ!!格の違いっていうのを理解するんだな!!」
____キィィィィン!!ゴォォォォォ!!____
「よくも………ラークさんとユーリさんを………!!」
「おぉ?なるほどなるほど………2本の剣に違うスキルの力を纏うなんて………まさにアートだな。私はそういうのがとっても大好きだ」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
私は2人を痛め付けられた怒りを、それをやったシルエルさんに対して両方の剣に違うスキルを纏って斬りかかった。
2人を苦しませたシルエルさんに対しての怒り………
モウ、オサエルコトナンテデキルワケガナイ………




