『44』 クエスト受注
「うーん、ついでに新しいの受けとくか」
「そうだな。良いヤツあったら先に取っちまった方が良いしな」
「えっ?クエストって受けたらすぐに行くとかじゃないの?」
「まぁ、そうすることもあるにはあるけど………1回受ければ、クリアするか途中で止めるまで、無期限でクエストが出来るシステムなんだよ。さっきのクエストだって3ヶ月くらい前に受けたヤツだし」
「うえっ!?そんなに間空けて誰かに横取りされるってことは無いの!?」
「そうならないように、横取りをしようと正式に受けた人よりも先に別な奴が、クエスト対象を討伐なり何なりすると、その情報がここまで来て、強制的にクエストを無効するっていうことになっている。だから、横取りされる心配はねぇぞ?」
え、えっと…………何となくだけど、要は誰かに先にやられちゃう心配は無いってことなんだよね?今はそれだけ分かれば良いよ。色々言われたって分からないし。
ラークさんとユーリさんは、2人で相談しながら次に受けるクエストを探していた。
その間は、私は近くにあった椅子に座ってスマホをいじっていた。
特に何も考えずに、スマホの画面を見ていた。
すると、いきなりエリア全体に危険を知らせるためのブザーみたいな音が鳴り始めた。いきなりのことで、ビックリしてスマホを地面に落とす。カバーを付けていたので、傷は付かなかった。
こ、この音は一体何なんだろうか。スマホをポケットに入れてクエストを選んでいた2人のところに駆け寄った。何が起きているのか、全然分からないので、2人に聞くのか良いかもしれないって思った。
2人も音が鳴っているせいで、クエストを決めるのを止めて辺りをキョロキョロと見渡していた。見渡しているときの顔は、いつになく真面目な顔をしている。
「ら、ラークさん………何が起こっているの?」
「俺にも分からねぇよ………!!この警報自体を聞くのが初めてだ………この警報は相当の緊急事態じゃ無い限り鳴らないはずだ………!!」
「つまり………今、相当ヤバいことが起きているってことな________」
____ドゴォォォォン!!!!____
「うえっ!?な、ななな何!?何なの!?今の音は!?」
「おい!!一旦外に出て様子を見てくるぞ!!」
ラークさんしさの指示で、急いで外へと走り出した。外に出た方が危ない気がするけど、何処に居ても危ないのは変わりは無いと思って、ラークさんの指示に従うことにした。
外に出ると、少し離れたところにある建物から火が出ていた。通りは家事が起きたこともあって、大勢の人がパニックになってざわついていた。
あの爆発する音みたいなのは、あの建物が爆発か何かにあった音だったってことなんだね。どう見ても自然に起こったことじゃなさそう。誰かがやろうと思ってやったとしか思えない。
でも、そこら辺にちょい悪の人とかの仕業じゃないよね。ラークさんも言っていたけど、あのブザーの音を聞くのは初めてだって言っていたし、ちょい悪の人が少しやらかしたくらいじゃ鳴らないはず………
そう考えると、相当頭のヤバい人が相当なことをやらかしたって事になるよね。
私達はその燃えている建物をじっと見つめていた。ラークさんも、ユーリさんも固まっていて何が起こっているのかを全然分かっていない様子だった。
(ど、どうしよう………!!このままだと本気でマズいって………!!)
《見つけたぞ………!!白銀の髪を持つ二刀流の女剣士………!!》
「だ、誰だ!?」
「わ、私のことだよね?」
《貴様の命…………この私が奪い取ってやる!!覚悟しろ!!》
(えぇぇぇぇ!?私なんかしたの!?何もしてなくない!?何で知らない人に殺されそうになってるの!?)
何処から知らない声が聞こえてきた。
後、何で知らない人に私は殺されそうになるの?おかしな話だよ!!だいぶ意味が分からないんですけど!?
何とも言えない怒りが込み上げてくる中、燃えている建物がある方向から、物凄いスピードで人らしい何かが飛んできた。その人は、地面を転がって私達の近くの建物の壁に激突した。
私は近付いて声を掛けようとした。でも、その人の顔を見て私は言葉が出なくなった。
その人は、シゼツケンさんだったんだ………全身が傷だらけで今にも意識が途切れそうな状態だった。私と戦った時に使っていた大きな剣はボロボロにされていて使い物にならなくなっていた。
(シゼツケンさんがこんなになるなんて…………私を殺したいってだけじゃないの……?)
シゼツケンの様子を見ていると、別なところでも爆発が起きた。今度は私達が居るところの近くの建物が同時にいくつも爆発した。
どうにしかしないと………!!これ以上、被害を広げるわけにはいかない!!




