『43』 手続き
報酬の受け取りは、最初に倒したという証拠になるものを受付の人に渡すこと。
認められる物としては、竜なら両方の翼とか両手両足とか………一番良いのが頭らしい。けど、竜の頭なんて持ち歩きたくないし、そもそも頭を持ってくるということは、殺さなくちゃいけないって事になるから、私には出来ない条件だ。
ちなみに、認められない物としては耳とか尻尾。他には、片方だけの翼や手足というのも認められないみたい。これだと生きている可能性があるということになって、クリアとして認められないというのだ。
私は受付の人に持っていた翼を渡した。受付の人は翼を受け取ると、両手に白い光を纏って翼を包み込むと、翼を一瞬にして消してしまった。
あまりにいきなりなことで声を出して驚いてちゃった。結構大きな声を出したから、恥ずかしくて咄嗟に口をおさえていた。ヤバっ………凄い顔が火照っている…………幸いにも、周りの人から変な目で見られることは無かった。
受付の人も気にすることなく、何やら色々と作業をしていた。受付の人の作業が終わったと思ったら、上にあるモニターに″CLEAR″の文字が浮かび上がってきた。
″クリア″って読むんだよね。ゲームでしょっちゅう見掛けていたから読めるようになっていた。ゲームも割と英語とか漢字とかの勉強になったりするんだよね。
私の英語と漢字の知識は、ゲームによって知ったものが殆どだしね。学校の授業とか常に寝ているから頭に入ってないし。
「おめでとうございます。クエストクリアが認定されました。報酬についてなんですが、ラーク様とユーリ様お二方のどちらが受け取るということでよろしいでしょうか?」
「嫌々、クエストはこの女の子がやったんすよ。だから、受取人はこの子にしてくれないっすか?」
「またまたぁ~、ご冗談を。そもそも、年齢的に受取人になることは無理だと思いますので、結局はお二方どちらかの手に渡ることになりますけど?」
「えぇ………何か面倒臭いなぁ…………分かりました。受取人は俺にしてください」
「かしこまりました。では、手続きをお願いします」
何が何だか分からないけど、私が直接報酬を受け取ることが出来ないみたいだった。年齢が足りていないだとか言っていた。ユーリさんに聞いたところ、年齢が14歳に達していないと受取人は慣れないらしい。
その条件、確かに届いていない。私は今年で12歳だ。決まりに従えば、受け取ることは出来ない。
他にも教わる予定だったことを、この年齢制限が壁となって教わることが出来なかった。ゲームみたいにクリアして、すぐに報酬ゲットって言うわけにもいかなさそうだね。
現実だと、ズルする人とかいるから、そのための手続きとかなんだろうね。全く、ズルする人が居なければ良かったのに………そういうことするから、ちゃんとしている人達が困るんじゃん。本当に迷惑だよ、迷惑。
(てことは…………何かのクエストをするにしても、ラークさんがユーリさんを通さないと駄目ってことなんだね。はぁ~、何か本当に面倒臭いなぁ~)
「アヤヒ、後でちゃんと渡すからな。ったく、リアルはゲームみたいになかなかすんなりいかねぇな」
「少しでも取ったら怒るからね?体の一部の肉、削ぎ落とすからね?」
「ま、マジでやりそうなんだよなぁ…………」




