『3』 目覚める力
「あの、ですね。こんな幼い子供を狙って何する気なんでしょうか?変なことする気ですか?」
「うん、する気する気。当たり前だよ?お嬢ちゃん」
(欲望ストレート過ぎて、何処からツッコんだからいいか分からないよ)
呆れた。この状況で呆れという感情を持つことになるなんて思わなかった。
白昼堂々、全身を黒い布のようなものを被っているような3人の男の人が、少女1人に変なことをする気満々みたい。ハッキリ言って、ヤバいかもしれない。
実際目の前にすると、何をすればいいのか分からなくなっちゃった。しかも、3人。無理があるよ。
どうする?考えるんだ、沢城彩陽。こんなところで負けている場合じゃない。
「つっかまえた~♪さぁさぁ~、お兄さん達と良いことという名の変なことをしようか~?」
(や、やばっ………!?捕まっちゃった………!!)
「ヘヘヘッ、やっぱり子供は最高だよなぁ~」
(変態だ!!ヤバいくらいに変態だよ!!)
腕を捕まれて、3人の男の人が私との距離をジワジワと詰めてくる。気付くと、私の背中に手が回っていた。
その手は、背中を気持ち悪く数回撫でた後、お尻の方にゆっくりと下がっていった。
逃げなきゃ……逃げなきゃ……!!その一心だけど、割と強めの力で腕を捕まれているから、振り解くことすらも出来ない。
更に、1人がポケットからナイフを取り出した。そのナイフを使って、私の着ている上着を切り裂いた。
「こうやって脱がせていくからね?よしっ、続きは路地裏でやろうとしよう?フフン~♪楽しみだねぇ~♪」
(嫌だ……!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……!!)
私は連れて行かれないように、全身に力を入れて体を持って行かれないようにしたけど、男3人の力には到底及ぶわけもなかった。
怖いよりも、変なことをされることに対しての嫌だという気持ちが私の頭の中をいっぱいにしていた。誰かの助けをアテにするわけにもいかない………自分で、自分のことを助けなきゃ!!
嫌だという気持ちと、その気持ちからくる逃げ出したいという気持ちが頭の中でグシャグシャになったとき、体の中から何かが溢れ出てくるような感覚があった。
(な、何………?私の体には、一体何が起こっているの?)
「ここまで来れば人目にも付かない。お嬢ちゃん、早速その未成熟の体を俺達に見せ_______」
「うぅ……………あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
___フォン………___
「へっ………?うぎゃっ!!」
___バキンッ………!!____
「お、おい!?いきなりどうしたって言うんだ!?」
思わず叫んだ瞬間、体の中から溢れ出てきたようなものが、今度は一気に解放されたような感覚があり、我に返ると、目の前には3人居たはずの男の人が1人消えていた。
何処に行ったのかと思ったら、少し離れた場所で血を流しながら、建物の壁に寄り掛かるようにして動かなくなっていた。
もしかして、私がやったの?
自分の体を見てみる。左手にはぼんやりと銀色っぽく光る砂のような物、右手には炎が絡みつくように纏われていた。
自分の体に起きているおかしなことに言葉が出なくなる。今、私の体に何が起こっているのか分からない。
でも、目の前の男の人3人を倒すくらいの力はあるみたい。これを扱うことが出来れば、逃げ出せるはず!!