『36』 ちょっと不機嫌なアヤヒ
「………………………よしっ、やるか」
私は剣を構え直して″ぺいん・ばるきゅりあ″の方に灰色のスキルを纏っていた。こっちのスキルの能力のこと全然分かっていないんだよね。
どうなるか分からないから、ちゃんと色々と分かるまで使いたくはなかったんだけど…………今の私は機嫌が悪いから、少しは暴れておかないと気が済まない。
多分、ラークさんとユーリさんを巻き込むかもしれない。
でも、そんなことまで気にしていたら、目の前の敵は倒すを出来ないよ。2人のことだから巻き込まれて怪我はしても、死んだりはしないでしょ。
″あいあん・めいでん″の方は何も纏っていない素の状態。両方纏うのは、流石に危ないかもしれないという思いからそのままにしている。
コントロール自体が本当に上手く行かなくなって自爆………なんてことになったら洒落にならないし。自分の能力で自分のことを苦しめちゃったら意味が無い。
「踏み込んで………一気に詰める!!はぁぁぁぁ!!!!」
《速い………!?この速度………まさに閃光____》
「やられちゃえぇぇぇぇ!!!!」
《クッ………!!我が業火の力を味わいたまっ______》
____キィィィィン!!_____
《グォ……………ッ!?》
「我が衝撃の力を味わいたまえ………って、なんちゃって」
全身から炎を噴射させようとしていた竜との距離を詰めて、″ぺいん・ばるきゅりあ″で思い切り斬り付けた。
少しずつだけど、戦い方のコツっていうのが分かってきた気がする。一番は相手が攻撃しようとしているところにツッコむ勇気だよ。これに関しては、コツというか慣れといいますか………まぁ、根性決めれば何とかなっちゃいます。
私のスキルの斬撃をモロに食らった竜は、地面に体を激しく擦らせながら遠くの方まで吹き飛んでいった。
想像以上の威力に驚いている。たった一振りしただけで、あんなに体の大きな生き物が簡単に吹き飛んでしまった。
ヤバい………これ強すぎるわ。ヘタに使いすぎると2人本当にでやっちゃうかもね。ただよ怪我だけじゃなくて、動けないレベルの大怪我になっちゃいそうだ。
「アヤテト!!俺達まで死にかねないから加減してくれ!!」
「うーん、それは無理なお願いですね。加減が出来ていたら、″あいあん・めいでん″の方にも使ってるよ。加減が出来ないから片方だけしてるんだよ」
《はぁ…………はぁ…………何て力だ………何故、こんな小娘に………これほどまでの力が………》
吹き飛ばされた竜が何かボソボソ言いながらゆっくりと立ち上がった。やっぱり、一撃じゃやられたりしないか。でも、結構ダメージを負っているみたいだし………もう少しで倒れてくれそうだね。
「早く、立ち上がりなよ…………″ごーか″の力、味わわせてくれるんでしょ?」
《クッ………!!そのナメ腐った口ごとをお主を燃やし尽くしてやろうぞ!!》
ちょっと煽ってみたら、プライド高めの竜さんは怒って私の方に向かってきた。しかも、猛スピードで突っ込んできた。けど、猛スピードで来ていると言っても、私の瞬間移動に比べれば全然遅いけどね。
突っ込みながら口から炎を出してくる竜のことをギリギリまで近付かせて、当たる数センチ手前のところで瞬間移動をした。
自分の勢いを止められずに突進を空振りした竜は、私の後ろに立っていたラークさんとユーリさんに突っ込みそうになった。
あっ、やっちゃったかな………?って思ったけど、2人は本気でした慌てながらも普通にかわしていた。思ったんだけど、何でこの2人は見ているだけなの?そもそも2人が行こうとしていたクエストなんでしょ?
もしかして………私に戦わせてお金だけを貰おうとしているのかな?そんなの絶対に許さないけど?報酬のお金みたいなの貰ったら、全部私のものにするから。
少しでも戦ってくれたら考えたけど、全然何もしてくれない。いくら私が押しているって言っても、何が起こるか分からないのが戦いなんじゃないの?
瞬間移動をして少し竜から距離を取っていた私は、そんなことを考えていた。美味しいところだけを持っていかせるわけにはいかないよね。私のデビュークエストの報酬は、全部私がゴチになっちゃいます!!
(さっさと倒しちゃおう。変なところで手を出されて、終わった後にごねられちゃっても迷惑だもん)




