『33』 夜のクエスト
家の外を出て、3人で一旦向かう場所の確認を行っていた。今回の目的は、森に棲む竜を倒しに行くということらしいです。流石は異世界。竜が普通に居るんだね。私達の世界で竜が本気で居るなんて思っている人はごく少数だよ。
2人は特に普段とは変わらない様子だけど、私は緊張している。だって、伝説上の生き物と戦うんですからね。そりゃ緊張するってものですよ。
既に緊張で吐きそうです。でも、不思議と楽しみでもあるのだ。死ぬかもしれないのに楽しみって、自分でもぶっ飛んでいる発想をしているなって思うよ。
この世界に来なかったら一生分かることのない感覚だったね。この世界に来て何回も死ぬような思いをしているから、それを越えた先の何かに辿り着いちゃったって感じでしょ。
「どうする?もう、森の中に突っ込んでいっちまうか?」
「今から戦う竜って強いの?」
「うーん、どうなんだろうなぁ~?話を聞くところによると、相当ヤバいヤツらしいぞ?」
「ふぅん、そうなんだ。とりあえず、さっさと終わらせようよ。あまり遅くなるのは嫌だからさ」
「な、何気に乗り気なことにビックリだよ…………行く前は結構渋っていたっていうのによ」
「気分が変わったと言いますか?まぁ、そんなところかな?」
私はストレッチをして、いつでも戦えるというアピールをしていた。私が案外乗り気になっていることが意外だったみたいで、ちょっと驚いている様子だったけど。
一応色々と話し合った結果、このまま森の中に突っ込んでいっちゃおうということになった。
竜の情報が少ないということで、どういう攻撃をしてくるのかが分からないことが多いみたいで、あくまで生きて帰ることを最優先みたい。誰かが死にそうになったら、すぐに帰ってくるらしい。
死んじゃったら元も子もないからね。よしっ、気合いを入れて頑張りましょうか!!
「あっ、そう言えば………他の誰かも竜に挑んでいるってことは無いの?結構有名なクエストなら、他の誰かがやっていても不思議じゃないと思うんだけど?」
「その点は心配ご無用だ。相当ヤバいっていうのが広まっているお陰で、その噂が広まった瞬間から、森に入ろうという奴はパッタリと居なくなった。特に夜なんて、竜が活性化している時間帯だからな。更にヤバい」
「話はともかく、早く倒して帰ろうよ」
「そうだな、行くか」
3人の心構えが出来たところで、ユーリさんが秘密の場所に転移したときに使った魔方陣を地面に出して、森に瞬間移動する準備をしていた。
本当に便利なスキルだよね。こうやって行きたい場所にすぐ行けちゃうんだから。
その魔方陣の上に乗り、竜の棲む森に転移した。
今の私がどれだけ戦えるのか、今の限界を知るにも良いタイミングかもしれないね。とりあえず、死なないように全力で戦おう。うん、怪我はしても良いって思っているけど、死ぬのだけは勘弁だからね。
まだ小学生なんだから死にたくないし。まだまだこれからって年齢なんだからね。
(待ってて………竜………今から討伐してあげるから。出来るかどうだか分からないけど)