『32』 夕飯の後で
夕飯をたらふく食べた私は、ソファで寝転がってくつろいでいた。ソファにくつろいでいたときに、ラークさんが私の剣を私が寝ているソファの近くの床に置いといてくれた。
疲れやら何やらで、剣の存在をすっかり忘れていた。私は剣を手にとってじっくりと眺めてみた。やっぱり、不気味なんだよな。じっくり見ると、その不気味さが伝わってくる。
あまり見ていると鬱になりそうなので、剣を床に置いた。
お昼寝のお陰で、体力はだいぶ戻ってきている。体が寝る前と比べて物凄く軽い。元気になると、暇な時間をどうやって過ごすかというのを気にしちゃうよね。
まぁ、ヘタに体力使うようなことはしたくないかな?なるべく体力を使わないようにして、時間を潰せる方法は無いのだろうか。
私は、暇潰しの相手になりそうな2人の様子を見ている。見ていることがバレないように、少しだけ顔を出している。
うん?あれ?何で2人して剣を背中にセットしているの?何処かに出掛けるのかな?後、ユーリさんの剣がデカい!!シゼツケンさんが持っていた剣よりも大きくない?パッと見た感じ、ユーリさんの体よりも大きいんじゃないかなって思う。
(ユーリさん、あんな大きな剣を使っているんだ………絶対に重いよね、あの剣。あんなの目の前で振り回されたら、何も考えずに逃げるよ)
私はしばらく2人が何をするのかを見ていると、ラークさんと目が合ってしまった。ヤバい………これは絶対に絡まれるパターンのヤツかもしれない。
うわっ………!!ニヤニヤしているよ………!!ニヤニヤしながらこっちに向かってくるよ。お、襲われるぅ………!!多分、本当に襲っては来ないかもしれないけど、お尻辺りは触ってきそうな感じだった。
私はソファから飛び起きて、床に置いてある剣を素早く背負って剣をいつでも抜けるように身構えた。私が真顔で身構えているのが予想していなかったのか、ラークさんがビックリして尻餅をついた。
その尻餅をついた音に反応して、こっちを振り向いたユーリさんも私のことを見てビックリしていた。ラークさんみたいに尻餅はつかなかったけど。
てか、ラークさんビビりすぎ。そんなにビビらなくても良いじゃん。
「止めてください!!俺はまだ死にたくないぃぃ………!!」
「殺さないから、何で私が脅しているみたいになっちゃてるの?色々とおかしいよ?」
「おかしいのは………アヤテトの頭の方だ!!」
「ユーリさん、貴方は本気で殺しますから」
「我が大剣の力を舐めるなよ?我が大剣『ロンギヌス』の力をとくとお見舞いしてやろうぞ!!」
「若干シゼツケンさんを思わせるような喋り方を止めてください!!後、ユーリさんも私にビビってましたよね!?」
「アヤヒ、ちょっくらクエストしに行くから準備しろよな」
「…………ふへ?く、クエスト?何のことですか?」
ラークさんが急に素に戻って、そんなことを言ってきた。
クエストって何ですか?クエストなんて単語、ゲーム以外じゃ聞いたことなかった。寧ろ、ゲーム以外で聞く時ってないよね。
しかも、こんなくらい時間帯に出掛けるなんて………危なくないのかな?物凄く不安なんだけど。
「急で、しかも今更で悪ぃけど、俺達は″クエストバーサーカー″として生きている。やっていることは、毎日溢れるようにあるクエストをこなしていくことで、その報酬を受け取って生活している。上手くやると結構儲かるんだよ」
「うんうん、しかも戦闘好きにはたまらねぇしな。好きなことをやって生きることほど楽しいことはねぇぞ?」
「嫌々、そんなことは良いから、それに私はついていかなきゃ駄目なの?」
「当たり前だろ?お前にも実戦経験を積んでもらわないと困るし。てか、嫌がる必要ないだろ」
「アヤテト普通に強いし。多分、1回やればハマると思うし。最近は色々とヤバいのもあるから、それクリアすれば報酬金がガッポリだし。そういうのを一緒にやっていきたいし」
「語尾に″し″が多いよ。………分かったよ。ついていくよ」
どうやら私もついていかなきゃいけないみたいで。
この2人は私も、その………″くえすとばーさーかー″?っていうのをさせたいようなので。とりあえず、戦いまくれば良いってだけみたい。あまりヤバいヤツじゃなければ良いんだけど………
ヤバいのもあるとか言ってたから不安なんだよね。
ふぅ~、いくら暇な時間がなくなったとは言っても………また戦闘ですか。絶対に疲れるヤツですよね?体力を回復した意味が無くなっちゃったよ。
それと………食べた後に戦うって大丈夫かな?私の胃袋が戦っている間に限界が来ないことを祈るしかないね………