『30』 痴漢はいけません
「____ろ!!アヤヒ!!起きろ!!早く起きないと、その有るか無いんだか分からない乳をモミモミしちゃうからな?」
「………………ん?………………ぶっ!!そ、そんなことしたら、夜中に暗殺するからね!?本気でやるからね!?」
「よっ?良い目覚ましだっただろ?夕飯出来たから早く食べようぜ?ユーリがお前に食べてもらいたくてウズウズしてるぞ?」
『はぁぁぁぁい!!私は現在進行形で待っておりますのよぉぉぉ!!』
(へふぅ…………寝起きにはツラいテンションだなぁ~)
ラークさんに起こしてもらって目を覚ました。起こしてくれたのはありがたいんだけど、その起こし方に問題がある。
私の胸をモミモミするとか言い始めた。冗談なんだろうけど冗談に聞こえないそんな言葉を聞いたら、誰だって身の危険を感じて慌てて起きるって。
ラークさんが、私が胸をおさえて慌てている様子を見て笑っている。私からすると、何一つとして面白くないんですけどね!!本当にモミモミされるのかと思ったんだからね!!
はふぅ~、まぁお陰様で目は完全に覚ましたわけだし、そこまで悪くのも良くないよね。あくまで触られそうになったというだけであって、本当に触られたっていうわけじゃない。
そう考えて、ラークさんと一緒にユーリさんが夕飯を作ってくれて待っているリビングへと向かう。
外は真っ暗になっていた。部屋の電気が付いていたから気付かなかった。たまたま部屋から出るときに窓越しの外の景色を見たとき、夜になっていることに気付いた。
本当に結構な時間を寝ていたみたいだね。相当疲れが溜まっていたみさようで。しかも、あれだけ寝たというのに疲れが取れきっていない感じがする。
(こりゃ~、後々普通に眠くなってくるパターンかもしれないね)
「ごっ飯~♪ごっ飯~♪美味しいごっ飯~♪」
「あっ、今日の夕飯ってどういう料理があるの?」
「肉メインだぜ!!やっぱりディナーのメインディッシュは肉に限る!!肉に痺れるぅ憧れるぅ!!」
(この『痺れるぅ憧れるぅ』って、ちょいちょい出てくるけど、あまり使いすぎるのも良くない気がするよ)
リビングに入るためのドアの前に辿り着いて、早速ドアを開けて入っていく。リビングに入るときに、ラークさんがさり気なくお尻を触ってきたので、私は容赦なく股間に鋭い膝蹴りをお見舞いしてあげた。
油断した………完全に油断しちゃっていた。胸を揉まれずに済んで安心して気を抜いていた。まさか、胸が触れなかったからってお尻を触ってくるなんて思っていなかった。
しかもさ、触られたって感じじゃなくて普通に揉まれたもん。お尻のお肉をガッツリ捕まれた。よく声を出さなかったと思うよ。揉まれて無言で驚いて、無言のままラークさんの股間を膝蹴りする。
ラークさんも痛みのあまりに無言で股間をおさえて苦しんでいる。ラークさんの苦しんでいる表情には、汗が溢れ出していた。
女の子には一生分かることのない痛みってヤツだよね。女の子には付いてないからね。男の人って、急所を狙うってなると、真っ先に股間を狙われちゃうから大変そうだね。
もう、股間とか狙ってくださいっていう的にしか見えないもん。特にさっきみたいなことをされたときはね。
「な………無くなったかもしれない…………ちょっ、あっ、ヤバいヤバい………!!右の方の玉が行方不明になっちまったよ!!アヤヒ!!これは緊急事態だぞ!!」
「ラークさんが私のお尻を揉まなければそんなことにならなくて済んだのに」
「いいなぁ~、俺も触りてぇな~?」
「ユーリさん?何か言いましたか?よぉく聞こえなかったんですけどぉ~?」
「な、何でもございません………!!と、とりあえず飯食おうぜ。冷ましちゃ勿体ないしな」
寝ているときは問題ないようだけど、こうやって活動しているときの方が危ないみたいだよ。起きたばっかりで変なことされるって最悪だよ。また変な疲れが溜まっていくよ。
私の疲れって、戦いの疲れとかよりも、ラークさんとユーリさんの絡みによる心の疲れの方が大きいかもしれない。はぁ~、もう少しマトモな生き方っていうのは出来ないのかな?
訳の分からないことを言うのは置いといて、せめて私の体を触ろうとする発言、本当に触ってくるということをしないでほしい。
次からは触ってきた時点で股間を蹴り飛ばすことにしよう。それを繰り返していれば触ってこなくなるはずだよね、多分。