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白銀少女戦記 〜醜悪と華麗の境界に、唱う偶像達〜  作者: 結城斎太郎
†フェアリー・ディファレント†

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『29』 来た理由

 長い間、黙り続けていたジェラールさんがようやく口を開いてくれた。そして、私がこの世界に来た理由を分かりやすく説明してくれた。


 私が来た理由は、このスキルを持っていたことが一番の理由みたい。そして、多分ここに来なかったら気付けなかったであろう剣の技術に関する才能もあって、上手く誘導して引き込んだというのだ。

 これだけでも納得がいく理由な気もするんだけど、まだ足りない気がしたので、これの他にも色々と聞いてみることにした。とりあえず、知らないことがあまりにも多すぎるので、聞きたいことを聞いているって感じかな?


 そもそも、何で私なんかに、そんなスキルや才能が備わっていたのか、それも知りたくて仕方なくなった。

 ジェラールさんは、それに関する質問を何秒か考えた後に答えてくれた。答えは「それは分からない」とのことだった。寧ろ、ジェラールさん自身が知りたいと言っていた。


 自分が作った世界とは関係の無い世界で、自分の世界のスキルを持っている人間が居たというのが、ジェラールさんにとって信じられないようなことらしい。



(世界1つ作っちゃうような人でも、分からないことは分からないみたいだね)



 この人でも知らないようなことが、私の身に起きちゃっている。これはもう、今まで気になったことを聞くしかないよね。


 異世界に来た理由を聞いて納得するしない以前に、今このタイミングで知らないことを出来るだけ知るというのが目的となってしまった。


 質問攻めを受けて、顔がだんだんと死んでいくジェラールさん。そんなのお構いなしに質問する私。

 

 どれだけ時間が経ったのかは分からない。結構な時間が経っているのだろうけど、そろそろジェラールさんが可哀想になってきたので、質問するのを止めよう。



「もう………俺のメンタルを傷つけないくれ………」


「うん、聞きたいことを十分に聞いたし、私は満足かな~?」


「何かと、とんでもない存在が生まれてしまった…………世界の運命とは、どこまで俺の予想を上回れば気が済むのだろうか………」


「ん?何か言った?」


「嫌、何でもない。とりあえず………お前は、ヴァルドヘイムで生きて、これからも起きてくるであろう異変に立ち向かってくれ。お前のこと転移させたのは、それをさせたいのが俺の本心だからな」


「そんなことを女の子に頼むのは、いい歳の男の人として頭がどうかしているとしか思えないけど………まぁ、こんな事になっちゃったわけだし、頑張ってみるよ」


「了承してくれたみたいだけど、だいぶ機嫌が悪いみたいだ。心にグサグサ刺さってくる台詞を言われてツラい…………」



 ジェラールさんに異変に立ち向かうと頼まれた。一応引き受けたのはいいけど………まず、その異変っていうのが何だか分からない。

 そうだよ、異変って何?多分、何が何だか分からない変なことだから″異変″って言ってるのかもしれないけどね。私からすると、異世界に来ちゃったこと自体が異変なんだけどね。


 そこについては、もう触れない方が良いよね。気にしたら負けってヤツでしょ?


 その異変について少しでも知っておきたいなぁ~っと思って、ジェラールさんにその事を聞いてみようとしたけど、いつの間にか消えていた。

 さっきまで居たジェラールさんの姿が見えなくなっていた。いきなり過ぎて焦っている。居なくなるんだったら、何か言ってから居なくなってほしかったよ。


 無言で居なくなるのはよろしくないぞ?


 ジェラールさんが居なくなって、また1人きりになった私は地面に寝転がった。夢の中で寝転がるなんて不思議な感じだね。



「うふぅ…………何か眠くなってきたなぁ…………ちょっと寝よ……」


(夢の中でも眠くなることってあるんだね。このまま寝ちゃったらどうなるだろ?まっ、何かなったらその時だね)



 私はジワジワときた眠気に負けて、目を閉じて眠りについた。

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