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『25』 ″死絶剣″と名乗る男

 変な人が出てきちゃった。


 黒いローブみたいのを着て、ドクロの仮面を付けた、いかにも怪しくて何かしてきそうな人。

 その背中には大きめの剣が、私とラークさんみたいに肩から掛けるようなスタイルで背負われていた。

 既に剣の持つところに手を掛けているその人。ジワジワと剣を引き抜こうとする動きをアピールしてくれる。


 これは、″せんせんふこく″というものだよね?


 私とラークさんもその動きを見て、咄嗟に背中の剣に両手を掛ける。戦う、ようになるのかもしれない。まさか、このタイミングで命を懸けるような戦いのデビューをするなんて。


 いきなり戦闘を仕掛けてくるなんて、なかなか酷いことをするもんだよ。この世界は、私みたいな女の子ですら、殺すことに何とも思わないのかな?



「おい、アヤヒ。戦えるか?」


「スキル使うのは無理だけど、剣だけなら何とかなりそうだよ」


『か弱き乙女にまで相手になると思われているとは、俺も舐められたもんだな。ここは1つ、大人を舐めるとどうなるかというのを、この″死絶剣(しぜつけん)″が教えてさしあげようぞ』



 そう言って、剣を一気に抜いて私達に向ける。

 し、″シゼツケン″とか何とか言っていたよね。明らかにあだ名みたいな感じだ。いかにも、その、何て言うか………ダサい。私よりも小さい男の子が思い付きそうな名前。


 後は………″ちゅうにびょう″?

 男の子が中学生くらいになると、よく分からない謎の言葉や動きをし始めるという病気みたいなのかな?


 私からしたら、どっちでも良いんだけど。でも、あまりに言葉や動きだけで判断して、少しでも油断をしたら死んじゃう気がする。


 アホっぽいけど強い。素人の私で何とかなるとは思えない気もしてきた。でも、戦闘経験者(ラークさん)に勝ったということもあるから、負けても死なない程度になることを祈ろう。



『二刀流か?見かけによらず、粋な剣術を使うのだな』


「良いか?死絶剣。ロリコンは万死に値する。よって死刑」


「誰が誰に何をおっしゃっているのでしょ____」




 ____キィィィン!!____




「……………………ッ!?ひゃうっ!?………あ、危ないよ!!急に攻撃してくるなんて!!相手を考えてよ!?相手を!!」


『戦の場に、性別年齢なぞ関係あるか』


「お前最低だな!!」


『最低?大いに結構!!甘い考えでは寿命を短くするぞ!!』




 ____ブォォォォン!!____




(動きがめちゃくちゃ速い………!!でも、まだ何とかなりそう!!)




 シゼツケンさんは、黒い三日月の形をした攻撃を飛ばしてきた後に、物凄い速度で一気に距離を詰めてきて斬りかかってきた。

 やっぱり、元々の力の差と剣の重さもあって、剣2本でも受け止めるのがツラかった。


 偶然、踏ん張っていたら灰色の方のスキルが発動して、そのスキルの力が両方の剣に纏われたことで、受け止め続けて動けなくなっていたところを何とか弾くことが出来た。


 こういうのを″ぱりいんぐ″って言うんだっけ?



「ナイスパリイだ!!そのままカウンターをかませ!!」


「って、ラークさんは助けてくれないの!?」


「危なかったら参戦するから安心しとけ」


「全然安心できないだけ………ど!!」


 


 ____ブゥン………!!ズォォォン!!____




「んもぅ!!かわさないでよ!!コントロールがうまくいかないんだから!!」


『なるほど………衝撃波を操るスキルか。なかなかレアなスキルを使うじゃないか。だが、完全にコントロールをしていない見える』


「今日初めてなの!!使えなくて当たり前でしょ!?」


「ナイスイグザクトリー!!」


「ラークさんは黙って!!はぁぁぁぁぁぁ!!!!」


『あぁぁぁぁぁぁ!!!!』




 ____ガキンッ!!ズドンッ!!____




 私の剣とシゼツケンさんの剣がぶつかり合った力のせいで、地面に大きめのヒビが入り、思い切りヘコんだ。


 これが………死と隣り合わせの戦いっていうものなんだね。全身がもう、自分が死なないようにするために全ての力をフル稼働させている。


 自分でも想像していた以上の動きをしている。もはや、自分の体じゃないようにも思えてきたよ。

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