「480」:GOLD FINGER'99
・・・・・あっ、そういえば、私の異能についての説明とかしてなかったね。使うタイミングとかも無かったら全然説明しとらんかったわ。
私の異能は……特に目立つものって言ったら「総合芸術」ってヤツかな。
この「総合芸術」っていうのは、現代文に扱われる四字熟語、単語を直接対象の身体に打ち込む事が出来る。その熟語、単語の意味合い通りの現象が具現化する。ことわざなど、「石の上にも三年」といった助詞や接続詞、送り仮名が入るものは効力を発揮しない。「死亡」、「殺傷」といった直接的に死に繋がるモノも自動的に無力化される。その刻み込まれた単語が致命傷に至らないものである範囲ならば物理攻撃としても反映される。「殴打」と顔に刻めば、殴られたダメージと衝撃が本人の身体能力をベースとしたモノが対象に反映される。「殴る」では送り仮名が付いてしまっているため、効果は発揮されなくなる。
他にも、自分の身体から任意の色の特殊な絵の具を出し、その色合いに応じて自然現象に基づいた事象を任意のタイミングで起こすことが出来る。赤、橙ならば炎、青、水色ならば水、白ならば氷……といった具合に、その色ごとに決められた自然現象が発言する。任意で起こせる事象は変えられないが、塗りの厚さや濃淡を変えることで効力を調整することが可能。
白兵戦には向かないが、据え置きの罠として、任意の場所に絵の具で魔法陣を書き、そこに実在する生物の単語を書くことで、その色に応じた自然現象を「異能」として扱える動物を召喚することが出来、それを使役することが可能。赤い絵の具で陣を描き、その上に「猪」と書けば、炎の異能を扱える猪を召喚できる。召喚した動物の大きさは、描いた陣の大きさに比例する。植物は召喚することは出来ない。
召喚した動物は、その生物が致命傷に至る基準のダメージを負った場合、消滅する。任意のタイミングで消すことも可能。動物のダメージを本人にフィードバックとして受けることは無い。ただ、魔法陣を描くための時間などを要するために、対人戦では扱えない召喚系統の術式。
活字由来、絵画由来の、芸術作品をモチーフとした特殊な異能であるために「総合芸術」と呼ばれている。発言者は記録に残っている限りでは私で16人目となるのかな?確か、それくらいのもの。決して私だけのユニークスキルとはではない。
ユニークスキルっぽい雰囲気を出しておきながら、ユニークスキルでもなければ、意外と使い勝手は悪いものだったりするから、戦闘向けの異能では案外無かったりする……希少性だけが無駄に高いだけの異能だけど、私なりの色々な使い道を発掘するなり応用するなりして、戦闘においても割とチートスキルに見えるくらいには仕上げてきたつもり。
これを使わなくとも、他のスキルや魔術を使うなりなんなりすればいいだけだからね。目覚めたスキル自体は氷で、二種持ちとして目覚めたのが「総合芸術」みたいなもん。手越ちゃんがスキルは雷で、遁術も扱えるみたいなもんなのかな。先天的に持っている異能の中では。勿論、氷スキルも他の魔術もゴリゴリに極めているからこそ、最前線組へのスカウトを貰ったようなもんだからね。




