「636」再戦 ⅩⅣ
第一、楓夏依がここに来る理由も、ましてやステイゴールド一族と対峙する理由もない。お互いに総督府に関わっている身で、敵対する間柄ではない。
総督府も、クエストバーサーカーの一人が、私達を殺すために送り込んだ刺客達と敵対する行為は未然に防ぐだろう。
何より、殺すべき対象となる奴が元々属していた[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]内の人の動きを警戒しないわけがない。
私の事を連れ戻そうとしている動きもあることは総督府も理解している事だ。何事も無かったかのように見逃すわけもない。
やはり………似ているだけで、違うのか?
まぁ、期待するだけ無駄になるだろう。何かと思慮深い天才である楓夏依という人間が戦場に一人で来ることも考えにくい。
本当に楓夏依だとしたら、ミーシャやレムリア達も同行させる。自分一人で強敵達が集まる少数精鋭の組織に殴り込むようなハイリスクな真似はしない。
その2人とも思わしき人物の気配もしない。仮面の女単体だけの気配しか、今のところは感知出来ていない。
あの二人の事だから、私達の探知を掻い潜るような動きをする可能性も十分に有り得るが………今のタイミングで総督府に真っ向から喧嘩を売る理由が無い。
[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]からの脱退をするならば話は別だが、優里の情報網からも楓夏依達が[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]から抜けるという情報は入ってきていない。
まだ、当分は居座ることになるであろう組織を中途半端に裏切るような真似をするとは考えにくい。
考えにくい、というだけで楓夏依も楓夏依で良くも悪くも常識に囚われない行動を取ることが目立つので、その性分を考慮すると「考えられない」とは言いきれない部分がどうしても生まれる。
………………分からない。
あの楓夏依と似ている、仮面の女の正体が。
何かしら、楓夏依だと断定できる攻撃をしてくれればいいのだが。楓夏依にしか出来ない異能の使い方………天才の中でも更にトップレベルの天賦の才を持ち、その才能の幅は特定の分野のみではなく、幅広い分野で遺憾無く発揮される。
決定的な術式の使い方や楓夏依なりの癖が見つけられない限り、楓夏依のスペックの異様な高さ故に生まれる不明瞭な点は解消されることは無い。
レイピアでも使ってくれたら、その太刀筋などからすぐに分かる。それだけ楓夏依とは対人戦闘の演習も重ねてきた。
どんなに似ていようが、細かな個人の癖というものまでは真似は出来ない。それさえ見つけ出すことが出来れば···············!!
[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]༆⟬❂[なんだ?]❂⟭༆[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]
[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]༆⟬❂[中村ゆみり達の、仲間ってわけじゃなさそうだな]❂⟭༆[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]
[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]༆⟬❂[気持ち悪い面を付けやがって]❂⟭༆[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]
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