「635」再戦 ⅩⅢ
次の対象を探す過程で、戸建ての家が隙間なく建ち並ぶ住宅街にやってきたのだが、奴等以外の謎の人物の気配を感じ取り、私達は適当な家の屋根に隠れて、気配を消しては様子を伺う。
住宅地と住宅地を挟む、数メートル程度の、日陰になっている細い道があり、私達が屋根の上で息を潜め始めてから、数分後………ステイゴールド一族の奴等3人と、それに対峙する一人の人間が居た。
人間の顔のパーツが一切描かれていない、のっぺらぼうの白い仮面を付けている女の姿。
黒髪ショートボブのストレート、前髪は触覚のように両端が長くなっており、その伸ばしている部分は群青色に染められている。
服装は触覚の部分と同じように群青色を基調としたジャージに、下は黒のショートパンツというラフな格好。
特に、武器などは携えていないようだが···············おそらく、転移スキルか何かによって何処からか取り寄せるつもりなのだろう。
[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[アイツか…………あの仮面のせいで、若干気配の感知というか、どこの誰かまで特定しづらくなっているな………]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]
「どれだけ探りを入れようとしても、ノイズが掛かったようになってる…………ここまでして自分の正体を探られないように徹底しているということは、どこかの組織の暗部なのかな?」
[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]⛓〈どうなんだろ。でも、女としてはガタイも良い。胸の膨らみが若干でも無かったら、男と待ち構えるほどの体型だよな………〉⛓[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]✡l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]
齏懿蕐が仮面の女の身体的特徴に触れる。
高身長、筋肉質の体………まるで、楓夏依のような体つきをしている。髪型の髪色も、最後に[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]で見た時の楓夏依と同じ。違う点で言えば、触覚の部分が楓夏依の場合は青く染められていないくらいのもの。
何より、長年の付き合いがある私の目には、仮面の女の佇まいが何処と無く楓夏依に似ている。
優里と齏懿蕐には分からない、前世の時から傍で見てきた私だからこそ分かる。どこをどう楓夏依と同じなのかという説明は難しい。具体的な理由はそこにはないのだから。
直感とも違うのだが………確証に近いものがあるので、ただの勘ではないのは間違いないはずだ。
しかし、気配による特定も出来なければ、顔も勿論見えてはいない。見た目と佇まいだけで楓夏依だと判断するのは早いかもしれないという気持ちもある。
私が、意識過剰になっているだけの可能性も十分に有り得る。再会したいという気持ちが募り過ぎて、楓夏依と見た目が似ているだけの人間に、勝手に脳が楓夏依だと先入観を植え付けているだけかもしれない。
その先入観によって、雰囲気や佇まいまでも勝手に似てると思い込ませているに過ぎない………ということも十分に考えられる。




