「633」再戦 ⅩⅠ
了徳寺さんは心臓を押さえて、咳き込むと同時に喀血した。心臓だけではく、かなりの濃度の治癒術式を周辺にまで流し込み続けたので、肺などの呼吸器系にも影響が出ているのだろう。
起きている事態に、この場にいる私以外の誰もが驚いている。優里と齏懿蕐は言葉を失い、唖然としてしまうほどの事象となった。
了徳寺さんの周りを取り囲むように舞っていた砂は、了徳寺さんの体の異変によりコントロールが無くなり、地面に降り注いだ。
[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]༆⟬❂[げほっ………!!げほッ……!!がふっ……!!!!ひゅぁっ……!!あぁあ"、っ……!!こ"、ごれは………!!一体"………?]❂⟭༆[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]
「複数の治癒術式……再生の効果を持つ複数の異能を高密度で凝縮させたものを、貴女の体に流し込ませていただきました」
[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[はぁ・・・・・・・何"を言っで"……?]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]
「何を、って………そのままの意味ですよ。治癒術式というのは、本来ならば現状の肉体の損傷に必要な効果しか生まないようにコントロールされたものが広まっていますが………つまり、それは元ある力に敢えてリミッターを付けているようなもの。ならば、そのリミッターを外すことだって可能です。治癒の効果を持つ異能全般のリミッターを外すことで、本来ならば寿命や肉体に影響を及ばさない程度に再生させる効力のあるものを、意図的に細胞の再生速度を狂わせて、いわゆる………細胞を癌化させるというもの。組織の医療担当の構成員から癌細胞の抑制のための話から、そこ根底にある細胞の仕組みなどの話を聞いていたので、その過程で細胞を癌化させる戦法を編み出しました」
[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[お前…………なかなかエグいこと思い付いたな]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]
[̲̅ᛗ̲̅[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]⛓〈医療専門の奴等でも思い付かなさそうな戦い方だな………まさか、治癒関連の異能を意図的に暴走させて、効果を著しく底上げして、本来ならば再生だけで留まる効力を、必要以上に細胞を連続的に増殖させる………細胞単位で体に負担が掛かり、負担に耐えられずに遺伝子から崩壊して、異能の特性も相まって瞬間的に癌細胞となる。……………そんなところかね?〉⛓[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]✡l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]
「多分、そんなところだと思う」
[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]༆⟬❂[まさか…………癌細胞を意図的に作り出させることで…………不死身の特性を発動させない………自然死という形に持っていったのか………!!]❂⟭༆[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]
「はい。癌による病死………細胞の突然変異による自然死という扱いになるのは、私の神辿人でも同じこと。私の神辿人の不死身の条件と同じと考えれば………その仮説が正しければ、細胞を癌化させての死は、自然死という判定になり、蘇ることなく死に至る………その仮説、どうやら当たっていたようですね」




