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「620」早く終わらせたい戦い

優里の説教がまた始まる。


私が少しでも無理をしているだけで何でもかんでも咎めてくるのが最近の優里の、私に対しての世話焼きだ。


お節介、余計なお世話、有難迷惑と思うことは多々ある。しかし、私のことを真剣に考えてくれているからこその言動だと理解している部分もあるので、決して無下には出来ない。


馬の特性なのか、優里の感覚が馬の生態と無関係に鋭いのかは不明だが、私がストレス過多によって引き起こしている身体的な異常も、私の口から話さずとも、私の手を触っただけで気付けたことも、私への世話焼きの頻度が高くなる要因となっている。



凱旋門賞の一件が終わってからというものの、私はストレスによって傷や皮膚病などの傷病が現れていないという状態で、何故か全身の至るところに痛みを感じる症状。神経障害性疼痛しんけいしょうがいせいとうつうになっていると、組織の医療部の医者から告げられた。


ストレスを溜め込むあたりに、痛覚が過敏になってしまって、本来なら痛みを感じることのない接触で激痛を感じたり、何にも触れていない場所が、一定の部位から焼けるようなヒリヒリとした痛みがあるなどという症状が出るのが神経障害性疼痛。


私の場合は、何かに触れているわけでも、肌にダメージを与えるような何かを浴び続けていることもなく、それでいて全身に痛みが生じるという症状が主に出ている。


慢性的に、とも言い難いくらいに症状が頻繁に出るわけでもない。症状が出たところで、腕や足などが軽く痺れるような痛みがおるのみ。


重症化すると、何かに触れるだけで激痛を覚えるということが慢性化し、日常生活すらもマトモに送れなくなる可能性を示唆されたが、治癒術式でどうにでもなるということも同時に教えてもらい、神経に直接異能が作用するような術式の使い方も覚えたため、今は疼痛に悩まされることはない。


痛みを感じた時に術式を発動させて、無理矢理痛覚を鎮静化させているというだけなので、根本的な解決には至っていない。


解決するにあたっても、過度なストレスを無くせという話になってくる。それは現時点では無理なのことは明確。


少なくとも、ステイゴールド一族を殲滅するまではストレスを緩和させることは無理だと分かっていたので、無理矢理痛みを無くすくらいの手段しか取れないのが現実だ。



それを優里と齏懿蕐には知られないように振る舞えていたはずなのだが、優里が私の様子を怪しく思い、自分一人で情報を集め、私の体に触れることで、私が心因性による神経痛を患っていることを突き止めた。


隠されていたことが嫌だったらしく、その経緯の中で、元から世話焼きだったものが、完全にお節介とまでになってしまった。


齏懿蕐にも話が伝わっている。知っている上での齏懿蕐の対応は、「本当に無理しないでね」という気遣いや労いの言葉を掛けてくれて、さりげなく私の心に寄り添うな振る舞いをしてくれる。


私としては、齏懿蕐くらいに控えめな気遣いが一番有難いと思える。優里の気遣いは、明らかに重さを感じてしまう。本人も私のためと考えているだけに、その言動を非難することは出来ない。


その悩みによって、更に悪化しそうなものである。

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