「614」 BATTLE FOR L'ARC DE TRIOMPHE ⅩⅩⅩⅩⅨ
馬主はヴァルドヘイムの規定だと、個人馬主は年収2000以上が向こう10年ほぼ確定していることに加えて、資産が1億円以上というもの。
私の場合は、配信だけで年2000万以上を稼いでおり、そこに作家やライターとしての雑所得や印税も含めれば、4000万は軽くいく。
資産についても、クエストバーサーカー時代を含めた報酬金で買った不動産や仮想通貨もある。
そもそも、口座にある現金で余裕でクリアしている。
個人事業主でありながらも、そこそこ展開している中小企業の売上や資産を形成しているのだ。そこまでの財力があって馬主になれないわけがない。
ちなみに、法人の場合は、代表者の収入と資産額が個人馬主の条件が一緒に加えて、決算書などの提示が別途で必要らしい。
他にも、組合馬主という形態もあり、こちらの場合は、3人以上10人以下の人数で構成されており、一人一人の年収が1000万以上、資産が5000万以上という条件が課せられている。
最低のボーダーラインがここまでという扱いだということは、馬主登録が正式に認められた時点で、それ以上の収入があることが確定する。
つまり、個人馬主をやっていると言えば、確実に年収2000以上を長期的に稼ぎ、資産を億以上保有していることが確定している人間になる。
その知識がある女なら、それなりに知識欲があり、それなりの広い視野を持っているということは、そこまで馬鹿ではないという保証にもなる。
仕事のストレスを適当に発散するための、程よくスペックの整っている女を口説く遊びをするなら、馬主という肩書きは打ってつけだ。
そこそこ頭のいい女なら、奢られることばかりを望むというのはしない。フェアな関係で臨みたいということも多々あるので、余計な金を一夜限りで終わるような女に使わずに済む。
そして、何よりも可愛いお馬さんの面倒を見ることも出来る。お馬さん、可愛いからね。
勝てなくても元気でいてくれることが一番だから、血統についても気にしていない。一応、レースも出させたいとは思っても、少しでも走れない可能性があるならば、そのままペットとしてのみ可愛がる。
走れたとしても、重賞………それこそ、GIなんて勝てたら奇跡くらいにしか思っていない。
ゲームの印象があり、「GI一勝しかしてないとか弱い」、「プレオープンよりも格下の地方競馬1勝程度とか論外」など話す、馬よりも遥かに知能の足りていない馬鹿も居る。
サラブレッドは、競走馬としてデビューするだけでも上澄み。更に、なんでもいいからレースに勝つだけで優秀な部類に入る。人間で言うならば、どんなレースでも1勝するサラブレッドは、慶応大学卒業くらいの肩書きにもなる。
重賞勝つのは、内閣総理大臣クラスと言えばいいだろうか。そしてGIを1勝で石油王、連勝や連覇、三冠やら何やらと勝利を重ねた場合には、それこそロスチャイルド家の当主ほどの位置にもなる。
言い過ぎかもしれないが、それだけの上澄みになってくるのだ。石油王を貧乏人呼ばわりと「GIを一勝は雑魚」は同じくらいに考えれば、競馬の見方も変わる。
そういったサラブレッドの世界を色々と知った過程で、私個人としては、経済動物という扱いはせずに、愛玩動物であることを徹底する。
GI勝てたら、もう、配信ほっぽり出してお祝いにしに行くくらいには喜ぶ。流石に仕事を本当に放り出す訳にはいかないが、落ち着いたパフォーマンスは確実に出来ない。




