「612」 BATTLE FOR L'ARC DE TRIOMPHE ⅩⅩⅩⅩⅦ
あくまで、楓夏依達との再会に関するゴールではあるため、総督府云々との間にある問題の解決については何も考慮していない。
[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]が機能不全になったところで、[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]そのものは総督府の下部組織のようなものであり、そこまで大きな土台となっているわけでもない。
それなりに大きな組織というだけであり、無くなったところでヴァルドヘイムにも、総督府にも大した影響にはならない。
[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]が陥落した時に影響を受けるのであれば、私達が居る組織に無理矢理にでも楓夏依達を派遣させることだろう。
何としてでも、私達を殺すように仕向けるはずだ。それをせずに、適当なところから資格を送り込んでくるのは、[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]の力を最初からアテにしていないとも読み取れる。
今回の刺客である、精霊化しているステイゴールド一族は、数あるプランの中でも、今回偶然私達を追い詰めることが出来たというだけで、本来ならば楓夏依達を使って確実に仕留めたいはず。
優里の情報によると、楓夏依達は相当強くなっているようだ。遁術や、かの"最前線組"が使っていたとされる異能までも扱えるほどになっていると。
"幻魔術"と言ったかな?
楓夏依が扱える異能の中にそう呼ばれるものが確認出来た。力の詳細は全く分からないが、かなりの高火力を生み出す力ではあること。2000年前から存在しており、一定数の使い手もいながらも、その力の根源が謎に包まれている。
そんな謎の力を感覚で覚えたらしい楓夏依は、相変わらずの天才だ。雲の上のような存在が、よく私の隣でずっと居てくれたと思う。
今でも、ずっと私の事を待ってくれているという話を優里から教えてくれた。
優里が管轄している諜報部の構成員が、楓夏依達とのコンタクトを取ったところ、「中村ゆみりさんってどう思う?」という質問に対して、ハッキリと「側にいたいです。だから、タイミングを見計らって、確実に再会の時を同僚と狙っています」と答えた。
その時のボイスメッセージも残っている。この話の場は、飲みの場で楓夏依が一人で飯を食っていたところに、ファンという体で話し掛けたところ、特に嫌がる素振りもせずに終始笑顔で対応してくれたと聞いている。
唯一、顔を歪ませたのは「私の再会」に関することだけだったらしい。
幻魔術も、自分の潜在能力が高いことを理解して身に付けた異能のようである。
そのボイスメッセージの最後には、楓夏依が「ゆみりと会うためならば、よくつるんでいる同僚2人も[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]も総督府も潰す気で居ますよ」と、屈託のない笑みを浮かべながら意気揚々と話していたとのこと。
それを言い残してから、そのまま会計を済ませて立ち去ったのが一連の流れ。
···············思ったよりも、私への思いが募っているのだ。想像以上の重さで、嬉しさと困惑が半々に入り交じっている。




