「５９８」 BATTLE FOR L'ARC DE TRIOMPHE ⅩⅩⅩⅢ
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大聖堂の地下に入った私達。
優里が奴等の本拠地となっている大聖堂の地下階層へのアクセスの仕方を既に情報として獲得していたので、その情報に沿って転移術式を鍵として潜入することが出来た。
転移術式によるピッキングと言ったところだろうか。この遠征で、優里の出来る業というものを一気に知ることとなった。
前々から出来ていたことを敢えて言わずに隠していたのか、それとも最近になって身に付けたものかは今は分からない。
後でしっかりと話し合うつもりだ。優里も齏懿蕐も私が身に付けている力の中で知らないことは沢山ある。
私達3人とも、泥臭いところを他人に見せたがらないっていうのはある。ここまでの関係性になっていても、そういう部分は意地でも見せない。
意地でも見せないことが習慣になってしまって、隠すことが当たり前になりつつある。
ただ、あまりにもお互いのやってきたことを隠し続けると、いざ仕事で使う時に限ってコミュニケーション不足が目立つなんてことになれば、今まで個々がそれぞれ培ってきた力というものが無駄になる…………まではいかずとも、最大限とは程遠い効力しか発揮しないことになるだろう。
それを避けるためにも、積極的に話し合いの場というのは設けたいのだ。雑談でも何でもできる場所を出せば、自然とそういう話にもなる。
雑談する場所でも、人間というものは自分の仕事を含めた人となりを無意識に話題に出してしまうもの。
情報を漏らしてはいけないという制約がしっかりと設けられていない場合は、人間という生き物は何でも話してしまうもの。
口約束程度、書類などの契約によって損害賠償などの旨が記されていない以上は、平気で他人に話せることを話してしまうのが、それが口コミとなって世間に広がる。
職場でも全く知らない人間の悪口なら、すぐに広まる。しかし、どういう理屈なのか、良い噂というのは広まらないという。
良い噂を聞いたと思ったら、ただ単にソイツを持ち上げたいだけの信者達の集まりだったというだけで、その教祖みたいな奴と対談してみれば……………まぁ、色々と問題が出てくるような人格破綻者だったりもする。
こういった背景も、実際に私達は幾度となく目にして、体験してきたことではあるから、余計な事は誰にも話さないように徹底するというのが、どんなに互いに信頼関係があるとしても、無意識に自分のことを話さなくなってしまっているのかもしれない。
それを少しでも緩和するための処置として、やはり雑談の場というものは私達において必要不可欠であり、そういった事務的な理由も差っ引いて、普通に楽しく団欒したいという感情の方が大きいかな。
