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「582」 BATTLE FOR L'ARC DE TRIOMPHE ⅩⅦ

『先頭2頭!!残り1000メートルを通過!!3番手以降とは2秒以上の差があるぞ!!大穴コンビのホウジョウとナカムラフェスタ!!突如現れた超新星が、ロンシャンの芝の上を一気に駆け抜ける!!逃げる!!逃げる!!大逃げだ!!大穴コンビの鍔迫り合い………!!フォルスストレートも何のその!!一気に最後のコーナーまでは駆けていく!!…………なんと2頭、更に加速!!』


「ま、マジかよ…………!!これ…………あの2匹のどちらかが勝つのは、もう、確定みたいなもんじゃ………」


「おいおい………!!3番手との差はどんなもんなんだよ………20馬身なんてもんじゃないだろ………!!」


「とんでもない番狂わせだな…………!!今年の凱旋門賞は………!!」



一般席で観客のリアクションを聴きながら、最後の直線で末脚を爆発させる2人の走りを見届ける。


最初は優里が体半分勝っていたが、齏懿蕐の持ち前の末脚によって、その差は一気に縮まっていき、あっという間に優里を抜き去り、そのまま優里との差を広げながらゴール板を駆け抜けた。


タイムは異次元の………芝2400メートルでは本来なら到底有り得ないタイムである、1分52秒3を叩き出したのである。


この記録は、現状の芝2000メートルの世界レコードを3秒ほど縮めることになる前代未聞のタイムだ。


齏懿蕐も優里も連覇当時は両方とも当時のレコードには届かなかったと話していた。



一体、何が、ここまでタイムを縮める要因になったんだ?



2着の優里は1分52秒8。2着とは言え、齏懿蕐と同様に異次元のタイムを弾き出したことには変わりはなかった。


蹄鉄無しで、あれだけの距離を駆け抜ける体の強さ………普段から二足歩行の方が慣れていて、四足歩行で走ることにはブランクがあったはず。


そのブランクすらも全く感じさせることのない、素晴らしい走りだった。


やはり、これが精霊化や神と近しい存在となった力か。遠征ついでの凱旋門賞という世界的なレースで、ここまでの記録を打ち立てるとは…………


2人して、只者ではないことをどの分野からでも自分という存在を誇示していくのだな。



ゴール板を駆け抜けた優里と齏懿蕐は、何とかしがみついている騎手さんを跨らせたままに、パドックへと繋がる地下馬道にステップを踏むようにクールダウンをしながら入っていった。


それに合わせて、齏懿蕐の単勝馬券と優里の複勝馬券の払い戻しを行い、あまりにも金額が大きくなり過ぎたこともあり、払い戻し金は直接口座に送り込むにことにした。


払い戻し金をすぐに受け取りつつ、同時に自分の口座に振り込めるシステムは本当に有難かった。



両方が万馬券になり、齏懿蕐の単勝馬券は1億円以上になっていたのだ。



そこまでの巨額になった理由は、大穴の齏懿蕐の単勝が10000倍以上のオッズを叩き出したことによるものだ。


ちなみに、優里の複勝は170倍というものであり、単勝の方は12000倍にもなっていた。どちらも、ほぼ勝ってる人が居ない等しいような………当たることを到底見越していないオッズとなっていた。



私は齏懿蕐の末脚の爆発力を知っていたため、齏懿蕐が勝つことを信じて齏懿蕐の馬券は単勝を買ったのだ。


齏懿蕐の末脚には勝てないだろうとふんでいた優里は見事に2着。


結果を確信していた私は、2人にそれぞれ1万円ずつ賭けており、単勝1億円以上、複勝180万円前後の金額に化けさせることが出来た。


本日のみの所得税が恐ろしいことになりました。おそらく、齏懿蕐の当たり馬券の所得税は、優里の当たり馬券の金額あたりになると思われる。


いや、それ以上か。累進課税だとすると、今回の優里の払い戻し金の倍以上の税金になるかもしれない。

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