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「579」 BATTLE FOR L'ARC DE TRIOMPHE ⅩⅣ

[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[········································ふぅ]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]


「優里、早く立って」



おそらく、優里自身も色々と気付いた上でのアクションなのだろうが……ここまでの気性難を演じることに何の意味が分からない。


背中を軽く叩き、パドックの方へ歩くように声を掛ける。しかし、本物のサラブレッドを演じ切るつもりなのか、私の言うことは確実に聞こえており、尚且つ理解しているはずなのに、一切動こうとはしなかった。


挙げ句、脚を折り畳み座っていた体勢から背中を芝に付け、足を伸ばして寝転がりながら芝を食べ始める。


本当に、何考えているか分からないな。


喋っている最中でも分からないことが多すぎるのに、無言でこういうことをやられると余計に分からなくなる。


こういう気性難の面倒を見る厩務員さん達は凄いと思う。しかも、優里の場合は言葉が通じるという明確なメリットもある中での面倒臭さを兼ねている。


言葉によるコミュニケーションが不可能な普通のサラブレッド………気性難のサラブレッドとなれば、精神的な疲労が募るばかりだろう。



[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[…………………………………むぅ]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]



コイツ、本来の馬からは出ないような声を漏らしている。


明らかに馬の鳴き声では無い声を出している。見た目サラブレットで、出ている声が人間の女の声なのだ。


考えてみたら、世間で囁かれている未確認生物よりも遥かに気味の悪い生き物だな、この牝馬サラブレッドモドキは。



「おい、立てって」


[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[········································]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]


「こんなことしてるから、20番人気の雑魚なんだよ」


[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[…………………………····················]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]



優里は今回の凱旋門賞は20番人気。


凱旋門賞はフルゲートで24頭。有馬記念におけるフルゲートが16頭あるため、それの1.5倍の頭数というレース。


20番人気という日本競馬では聞きなれないような状態でも、人気順で言うと1番下にはならない。


ちなみに、齏懿蕐の方は18番人気。


デビュー戦を含めた全てのレース実績が非公開という扱いのサラブレッドであるのだから、実績のある方へと人気が流れるのは仕方の無いこと。


本人達も分かっているとは言え、思ったよりも人気が低く、あからさまに落ち込んでいるところを見て私は何も声を掛けなかった。


人気があろうが無かろうが勝つのは2人のどちらかであり、2着もどちらかということを信じていたからだ。


奴等が出走するという前提で考えていた時ですらも、この2人が1着と2着を独占することを信じていた。


なので、敢えて私は慰めの言葉は掛けなかった。負けるわけが無いと絶対的な信頼を寄せている相手だからこそ、私は無言で背中を押す。



今は、物理的に背中を押して、立ち上がることを促しているが。





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