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「186」何か、あったんだよ









∞∞∞∞∞∞











「···································ミーシャ」


「何?楓夏依」


「めっちゃ、ゆみりの匂いがするんだけど?」


「何で私の匂いが分かるんだよ。犬か、お前は。五感まで犯罪者予備軍の思考に染まってんのか」


「五感犯罪者予備軍ってパワーワード過ぎるだろ。そんな危ねぇもん備えているわけないだろうが」



情事をある程度済ませてから、一旦シャワーを浴びて、部屋着から私服に着替えてからホテルから総督府へ向かった私とミーシャ。


そこには楓夏依とレムリアが既に待機していた。楓夏依が嬉しそうに近付いてきたのだが、その時に私の匂いとやらがミーシャからも強めに漂っていたらしく、それで楓夏依の頭の中で「エッチしたろ?」っていうのがすぐに分かったらしい。



事実ではあるから、色々と否定できないが…………匂いだけで、直感とは言っても、そこまで当てるのは本気でドン引き。


そこまでのことをされてしまったら、「五感犯罪者予備軍」という事も言いたくなるようなものだ。



これから、昨日の続きのクエスト………散策に行くというのに。昨日の続きでもあり、美咲と美香を殺して、その体を改造した奴等が潜んでいるであろう"大理石と鋼の森"と呼ばれるところに向かう。


そこは、自然環境と生態系が滅茶苦茶になっていて、普通の地面から大理石や鉄を主成分とする草木が生い茂っているとのこと。


かなり昔から、特有の生態系を築いているということで、一切人の手が加えられることが無いままに、その状態を維持し続けているらしい。


発見されたのは今から1000年ほど前で、この森が存在しているのは、何十万年も前の話になるという…………


そこの森には動植物も存在している。大理石や鉄、土を主食としている虫や動物……それを食らう肉食動物や魔獣が潜んでいる模様。


そんな森の中に、何者かの拠点があるのは間違いないとのこと。実際に総督府の上層部の人間が直々に調査しにいった報告からくる情報なので、信用はしていいと思う。


その時に調査に向かった人間は30人以上いたのに、帰ってきたのは5人ほどで、その5人も魔法による致命傷を受けて1週間以内に全員が死亡という事態になっている。


美香と美咲が死体傀儡として、私達を対峙させるような連中が居るのだ。生態系も含めて………全てが異常の森ではあるのは、名前からして想像がつく。



「大理石と鋼の森」というネーミングで、本当に大理石の木と鉄の木が生えている森が普通の森なわけが無い。


無機物が有機物として扱われているような表現をされているのが、いかに異形の森かを伝えてくる。


その写真もスマホに送られていて、シルエットは木の形で、地面に落ちている葉も形だけならば、他の植物とは変わりは無い。しかし、明らかに色合いからも伝わる無機物という主張。


それに、そこそこの高い位置から落ちている大理石の薄い葉が一切傷も入っていないとなると………強度も、一般的な大理石よりも遥かに耐久性に優れているということも見て取れる。


大理石で、ここまでの強度を誇るとなると………鉄の木の方の落ち葉も、かなりの耐久性となるだろう。


それに、普通の落ち葉のようにゆっくりと舞うようにして落ちるのではなく、その質量と密度から、ほぼ自由落下の状態で地面に向かって落ちてくる。


資料に書かれていた上層部の人間の半数の死因が、鈍器による頭部の損傷による重篤な脳挫傷。


おそらく、硬い落ち葉をモロに頭に食らったことが致命傷になったという認識で間違いない。


実力についてはともかく、私達よりも何十倍のクエストバーサーカーとしての経験があるような人間が派遣された全員死ぬことになるような場所に私達は向かうわけだ。



落ち葉だけでなく、そこに存在している生態系全てが敵ということになる。その中で魔獣やらと戦うのは、実際に戦ってみないと分からないところしか無いが…………現段階での予測では、かなり骨が折れる内容だろうという見立てだ。



そんな危険地帯に今から行くというのに、私も含めて全く緊張感を持っていないメンツしか集まっていない。


私達に依頼の説明をしてくれた受付の人も、私達の緊張感の無さには呆れていた。



殺人落ち葉については、適当に結界を張っていればどうにでもなる。それに、自然には敵も味方もない。ならば、どれだけ味方に付けられるかというのも頭の使いどころだ。


鉄ではなく、鋼と呼ばれるくらいの強度の落ち葉が降ってくるのであれば、その落ち葉は十分過ぎるほどに武器として扱える。


落ち葉に魔法を纏って相手に投げ付ければ、天然の投げナイフとしても戦力としては使える。


手ぶらでいっても、そこら辺に武器が落ちている………戦うための武器には絶対に困ることがないという前向きの考え方も出来る。



そう考えれば、意外と場所の条件としては悪くはないのかな………とは個人的に考えている。


私だけなく、楓夏依達も同じような考えを持っているからこそ、心にも余裕がある振る舞いが出来るのだろう。


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