「184」麻の華
「なんか……………ミーシャもミーシャで、しっかりと頭飛んでて、配信者だなって思うよ」
「頭おかしくなかったら配信者なんてやれないでしょ」
「その通りなんだけど…………まさか、麻を彫ったZIPPOライターを使うなんて、なかなかにイカついことをするよね」
「花言葉以外の意味でも、色々な私の思いと繋がる部分があったからね」
「綺麗な花には棘があるみたいな?」
「私の場合は、綺麗じゃなくても毒と棘くらいはあるっていう方になるのかな?」
「いやいや、そんな卑屈になっちゃダメだって。ミーシャは本当に可愛いんだから。ミーシャくらいに可愛かったら、どんなヲタ豚でも「うへぇうへぇ」って言いながら、そこから溢れ出てくる毒を堪能しに集まってくるでしょうよ」
「··················································可愛い、か」
___ジュッ………………
「あのさ……………ゆみり」
「何?」
「···································私の事、抱ける?」
「・・・・・・・・・・・は?」
唐突な、ミーシャの発言に思わずタバコを落とす私。
指がするりと抜け落ちたタバコは流しに落ちて、私とミーシャが捨てた余ったお湯が冷めて水溜まりになっているところに落ちた。
ミーシャの発言に驚きながらも、落とした吸殻を回収。濡れたタバコを灰皿に入れる。丁度消そうと思っていた時だったから、特に「勿体ないことをした………!!」という感情は無く。
何よりも、ミーシャの「私の事、抱ける?」という言葉が頭の中を駆け巡っていて何て返すのが正解なのか…………いや、もう、受け入れる以外に答えが無いのでは?と思えるような流れになってしまっているのだが………
____ファサッ、ファサッ、ファサッ、ファサッ……
「可愛いとか、何とかって…………ずっと言ってるの知ってるから」
「そりゃ、まぁ、私は基本的に裏でも表でも言ってることは変わらんからな。そこに差を作ると、逆に色々と面倒な事になっちゃうし」
「ただ単に嘘つけないだけのくせに」
「········································それは、そうなんすけど・・・・・・・・・」
「てか、楓夏依とかと話している時に聞いちゃってるんだよね。私、本当に耳は良いからさ。2人が焼肉食べていても、その時の会話を魔術とか使って、元の聴覚を更に強化させれば、それくらいの盗聴は簡単に出来ちゃう」
「······························なんか、言ってたっけ?」
「普通に、抱ける女の話をしていたのは知っているよ?しかも···············シラフで」
「してた、ね。してました。はい、ちゃんと…………やらかしていました」
「私の名前が真っ先に出ていたけど、他の[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]の演者の名前も出ていたよね?」
「まぁ………あの時は私の恋愛対象が何故か女の方へシフトしていってるとかって話をぶっちゃけていたし。一応は、男も恋愛対象ではあるけども………女の方が見ていて興奮する、みたいなことを聞いていた」
「ガッツリ聞いてるじゃん……………」
「意外と、女関係になるとだらしないのかな?って思ったりもした。同性だから、別に気にする事はないみたいな、ノリなのかな?浮気とかは絶対にしないっぽいし、初恋の話とかを聞いても、割と一途に好きにいるタイプではあるのかもしれないけど…………それはあくまで、普通の男の、異性としての恋愛対象だからね。あんまり参考にならないところもある。それに、恋愛対象ではなくて………推し活になると、一気に手札を増やしたがるところも·························もしかして、それが女を恋愛対象にする場合の言動なのかな?っていうのも思えてきちゃったりね?」
「いや………まぁ………うーん…………なんて言えば、いいんでしょうかね?」
「でも、まぁ…………女の同士の体の関係は、私もドライでいいと思う。私もどっちもイケるタイプであるからこそ、経験人数もそれなりに居るわけだし。ちゃんと非処女になっているから……………ゆみりの下半身事情に関しては、何も言えないところではあるけど」
「会話が生々しいわ。そろそろ朝飯でも食べようかなっていう時に、こんな話題を振らんでも………」
「どっちもイケる人って、同性に関しては割と淡白な人が多いイメージがあるし、私も実際にそうだから………まぁ、ワンナイトみたいなノリでも良いかもしれないけど…………それはそれで、色々と思うところもあるし、体の関係っていうことには変わりはない。やっぱり…………その、ヤリ友だけで終わる関係性というのは嫌だなって思っているから」
「あ…………はい」




