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「183」※閲覧注意









___コポポポポポポ…………










「ふふ〜ん♪ふーん♪」


「··················································」



慣れた手つきで、私と同じように浮遊させながら水を沸騰させて、それをマグカップの中に入れる。


ちなみに、私とミーシャが今使っているマグカップはペアルックとなっている。ミーシャがお揃いの物を使いたいと言って、特に断る理由も無かったので、渋々了承して…………そのまま、私が管理することになっている。


正直………ここまで、恋人のムーブメントを出されると、楓夏依とレムリアの嫉妬が怖い。



あまり、そういった事で喧嘩はしてほしくない。些細な喧嘩が切っ掛けで人間関係は簡単に崩壊していくところは何度も見てきた。


もう…………誰も失いたくはない。


美香と美咲の時のような、あの惨劇は…………これからは、絶対に無いようにしないといけない。


疲れも抜けて、ミーシャが傍に居てくれるお陰が………2人の失った喪失感というのはそこまで感じていない。


勿論、忘れ去って一切悲しくないということは有り得ない。私の、これから先の、何をやっても癒えることのない心の傷として残り続ける。


しかし、いつまでも死を引き摺って………2人の元に早々に行くような事になってしまっては、あの2人なら「なんで来たの!?馬鹿じゃないの!?」って確実にキレられることだろう。


2人が綺麗にハモって………同じことを言うだろう。だから、私は………心に2人の存在を刻み込みながらも、涙は決して流さない。



夢の中でも、2人が出てきたから。夢の2人だったとしても………「私達の事を忘れなきゃそれでいいよ」なんてヘラヘラしながら言ってくれたから。


そこまで言って送り出してくれたんだ。逆に、泣きじゃくるという行為が良くないと思った。


敢えて考え込んでカサブタを自分で剥がすよりも、今は今で前を向いて、大切な傷跡として一緒に歩んでいけばいいだけのこと。





___シュボッ……チリチリチリ………カチンッ






「えっ?あれ?ミーシャってZIPPOライター買ったの?」


「社長がくれた。どーせタバコを吸うならば、百円ライターなんていう安物を使うんじゃなくて、少しでも良いものを使いなさいって言われて…………1個5万円くらいするのを渡された」


「なんか····················そういうところが、ガチで歪んでる感じが出てて、きっしょく悪いなって思うわ……」


「ね?しかも、オーダーメイドで私の最近好きになった花の模様までも入れていたんだよ?誰にも言っていなかったはずなのに…………それを知ってるのもキモい」


「何の花?」


「麻」


「麻?……………あぁ、大麻か」


「そうそう。マリファナよ」



確か、麻の花言葉は「運命、結果、宿命」っていうのがあるんだったかな?


私、そういうことも無駄に覚えている。何でもいいから知識を蓄えて、様々な世代層からリスナーを作るためにも、そういう細かい知識はあった方がいいかなと思って。


流石に本職の人達には負けるが。本職以外の人間としてならば、かなり知っている方ではあると自負している。


麻の花言葉を知っている時点で、なかなかに詳しいということは伝わってくれたはず。



社長は特に意味も分からずに、ミーシャが好きな花?の模様を調べて、それを彫り込んだ高価なZIPPOライターを渡したが…………ミーシャは「花言葉の意味合いでも好きな花になった」と話してくれた。


「運命」という壮大な花言葉があるのは、かなり印象的だと思う。麻は世の中の認識では麻薬という認識が強いため、毛嫌いされている場合が多い。


それは、この世界でも同じことで。タバコとは違って、明確に麻薬という括りで扱われている。ただ、違法薬物として取り締まられる事は無い。合法的な麻薬として罷り通っているようだ。


大麻依存症になるクエストバーサーカーもいるようで…………この世界の麻は、私達が前世を生きてきたところよりも、麻薬としての効能が何十倍も濃いらしく、乾燥させただけの葉をタバコのように吸うだけで、個人差に死ぬこともあるほどの有害物質があるようだ。


特に花の部分に一番毒があるようで、花には高濃度シアン化物が含まれていて、それを同じように吸引すると、数時間後には中毒症状によって死に至るという……


なので、使用する時は限りなく毒性を抜く必要があり、その時に他の有害物質なども抜けてしまうため、結果としてタバコよりも体に害がない状態によって流通されるため、表向きは麻薬という風潮でそれとなく使用禁止を謳われているだけで、取り締まるほどではないというのは、そういう事情があるからとミーシャは話している。



加工に手間が掛かるため、麻薬としても値段が付くので、裏社会の経済資源として重宝されている模様。


「草の形をした金塊」なんて言われるほどの代物らしい。



······························そういうことをすべて知った上での、自分の中でのお気に入りの花としているなんて…………ミーシャも、相当頭のネジが外れている。


今吸っているタバコも、本当は別の草なのでは?と思えてきてしまう。


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