「182」添い寝
「うぅ……………んん……………」
(ミーシャ……こんなに可愛かったっけ?)
····················ずっと可愛いかった、な。
基礎化粧すらもしていない、本当のすっぴんを曝け出しながらも、何の恥じらいもなく外に出ていたくらい。
どんなにズボラな女でも、洗顔と化粧水、クリームくらいはしておくものだ。神ともなると、肌の強さも変わってくるのだとしても………あまりにも、杜撰な手入れをしていれば、どんなに鋼の肌をしていても荒れてくるはずだ。
そんな杜撰な肌の手入れでも、綺麗な肌を保てるのは…………やはり、狗神の遺伝子によるものなのだろうか?
狗神と2000年前に居た、世界を裏で牛耳っていた資産家の血を受け継ぐだけあって…………遺伝子単位で何もかもが特別な作りになっているのだろうか?
私は静かに寝息を立てているミーシャの頬にそっと触れてみる。「ふぅん……」という声を出して、頭の上に生えている耳を動かす。こめかみに生えている方の耳も僅かに動いている。
(……………可愛い)
あまりの可愛さに、性欲が溢れ出しそうになった。ここ最近、女に対しての性欲が溢れだしてくるのだ。
前世の時はそこまででもなく、男に対して「あっ、この人なら抱かれてぇ!!」っていうのは当たり前のようにあった。
人間だもの、性欲の一つや二つはあるのが当然だ。無い方がおかしいくらいだろうに。
だが、現世に転生して………日を追う事に、何故か男への性的欲求よりも、女に対しての方が強くなっているような気がする。
何故かは分からない。自分でも他人に聞かれたところで「分からない」以外に答えようがない欲求が現れてきている。
…………一言で言いますと、ふとした切っ掛けでミーシャに手を出してしまうかもしれないということです。
殴るとかっていう意味ではなくて、性的な意味な方での…………はい。
その邪念を取り払うためにも、私はベッドから急いで出て、水を魔法を使って浮遊させながら瞬時に沸騰させて、マグカップの中に注いで、余った分はそのまま流しに捨てた。
Tバック………ティーパックをマグカップの中に入れてから、何回かティーパックをマグカップの中で上下にピストンさせた後………小皿に茶葉を搾り取ったティーパックを置く。
そこまで終わらせた後に、軽く歯磨きをした後にタバコを吸いながら紅茶をすする。
歯磨き粉の影響で、タバコと紅茶が常にメンソールが効いている状態になっている。歯磨きする順番がおかしくないか?と突っ込みたい人も居るとは思う。
個人的には口の中の不快感が酷かったので、今からタバコと紅茶で再び口の中が汚れていくとしても、その不快感をどうしても拭い去っておきたかった。
紅茶とタバコが不味くなるのでは?という質問に対しては…………性欲を抑えることに必死になって、そこまで細かいことを考えられるほどの頭になっていなかったのだ。
今の私に論理的思考を求めるのは間違っている。元から論理的思考が出来るタイプでもないのに。
論理的思考が冷静に出来て、真面目な御託を並べられるような人間だったならば、今頃VTuberなんてやっていないわ!ってなるな。
脳ミソが数式と記号に染色されまくって、便所の黒ズミや黄ばみくらいに頑固に付着しているような状態の人間は、まず難しいことだとは思う。
根っからの理系には無理な仕事内容だ。アイツら、他人を楽しませるということが著しく出来ないのが多い。
言われたことに対して、真面目に返すだけの配信者の何が面白いというのだろうか?同説10人をキープ出来れば御の字といったところだろう。
悪ふざけが出来ない馬鹿には向いていない。悪ふざけを程よくコントロール出来るバカが残せる世界…………配信業界に限らず、冗談通じない馬鹿というのは使い物にならない。
場を悪くすることしか出来ない上に、自分は何もしていないと思い込んでいるサイコパスだからな。
·························理系アンチのようになっているが、そういう考えをしている人間が多いよな、っていう話をしているだけ。個人的な感想として流してくれればいい。
「ふぅ………………性欲が収まらないな」
「クァァァ〜、んぅ……………あり?あっ、おあよぉぉぉ〜、ゆみりぃぃぃ〜」
「あっ、起きたんだね。ミーシャ」
寝ぼけ眼を擦りながら、台所で窓の外に向かって煙を吐き出している私に、呂律が回っていない朝の挨拶を掛けてくれた。
朝……と言っても、スマホで時間を見てみたら、既に正午30分前という時間になっている。
もう、「こんにちは」の時間である。
_____タッタッタッタッタッ
「私も紅茶飲むぅ〜」
「いいよ〜」
(アカン……………ヤバいくらいに可愛い。私の下半身…………耐えるんだ……………!!!!)
元から癖っ毛の髪が、寝癖で更に毛先が丸くなっている。それが余計にミーシャの可愛さを増幅させている。
ミーシャのヤツ…………わざと、私の理性を破壊しにきているのか?




