「174」無感情にて……
必死に内臓が溢れ出ないように、馬鹿みたいに惨めに腹を抑えている…………2匹。
コイツらは、私が2人の見た目をしていれば、殺す事を躊躇うとでも思ったのかな?···············躊躇うわけが無いだろうが。
これ以上、誰も失わさないようにするならば………私が、どんな奴等であろうと消さないといけない。
ここまで自分自身が感情を潰せるという事自体にも、少々引いている部分もある。楓夏依、ミーシャ、レムリアも……………どんな表情をしているんだろうな。
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「·············································」
「ゆみり………!!」
「ミーシャ…………」
私のことを心配そうに見詰めるミーシャ。………楓夏依もレムリアも見つめている。
目の前で苦しんでいる、"美香"と"美咲"よりも………その2人を気にする素振りを一切見せずに、私の事だけを考えてくれているのか。
なんか、ここまで粗末な扱いをされているって思ったら、あの2人も………成仏出来なさそうだな。
___ドサッ…………ドサッ………
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「……………………死んだの、かな」
地面に倒れ込んだ2匹は、小さく最期の呻き声を上げて静かになった。仲間とよく似た死体を見ても、本当に何とも思わないくらいのメンタルになってしまったのは…………随分とクエストバーサーカーという仕事に染まってしまったと思う。
前世で涙を枯らしたとは言え、こういう時くらいは一粒でも……それこそ、雀の涙程度のものは出てきてもいいくらいなのに。
[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]【ハハハハ〜、殺しちゃったんだねぇ〜?】[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]
「………………………………」
[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]【何の感情も無く、殺しているんじゃなくて···············たぁんじゅんに、あまりのショックに感情が抑制されているだけじゃないの?明日くらいになったら、急に悲しみとかが津波のように押し寄せたりとか…………そういうのもあるんじゃぁない?】[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]
パーマの掛かった金髪の女が私達の前に現れた。死体2つから流れ出る血液と、溢れ出た内臓を足の裏の下敷きにしながら、明朗快活の雰囲気を醸し出しながら歩いてくる。
怒りに駆られたミーシャが、その女に掴みかかろうとしたところを楓夏依とレムリアの2人がかりで止められる。
牙を剥き出しにして、瞳の色を怒りで真っ赤に染め…………両手の爪は鋭く、いかにも捕食側の獣であることを強調するような……そういった部分から、ミーシャの狗神としての力が暴走しかけていたことが分かった。
低く唸りながらも、自分のことを押さえている2人に向けて「離せ………!!!!」と訴えつづけていて、このまま暴走させたままにすると、ミーシャまでも…………この金髪女の贄になってしまう。
冷静に相手の動きを判断できる状態ならば、こんな気色の悪い………巫山戯た真似をする、性根の腐った金髪女には負けはしないだろうが……………今の精神状態で食ってかかれば、返り討ちに遭うのは火を見るよりも明らかだ。
感情を暴走させて、敢えて隙を作られせることが目的なのだから、それなりの対策を練ってきているはず。確実に殺すための算段を立てずに現れているという見方は非現実的だ。
今のミーシャを、この馬鹿女の前に晒す必要は無い。
だから、ここで私が仕留めればいいだけのこと。
それに、《《この女以外にも近くに色々といるみたいだしな》》。気付かないとでも思ったのか?
仮に私が他の気配にも気づいたところで、自分達が確実に勝てると思い上がっている采配…………
·························正直、今の私のメンタル的には、目の前の金髪が何をどう考えているかなんてどうでもいい。関心は微塵も湧かない。
ただ、ただ·························殺せればいい。大人しくさせられればいい。それだけ。




