「168」素人図鑑【狗神編】
「フハハハハ···············!!!!ヒヒヒヒヒヒィィ···············!!!!」
「私、泡嬢だけは経験したことは無いな」
「泡嬢になったら、さっきの説明文を丸々使えばいいんじゃない?」
「やだよ!!ならないわ!!ふざけんな!!」
「ごめんて、ごめんて」
ミーシャは怒りながら尻尾を激しく左右に振る。私と楓夏依は不機嫌になっているミーシャを宥めながらも、笑って謝罪の言葉を述べている。
笑いを堪える気も無いため、謝罪の誠意が綺麗に無くなり、一向にミーシャの機嫌は直りそうにもない。
悪いとは思ってても、面白さが勝ってしまって笑いが止まらないという状態で、こればっかりは不可抗力と言えよう。
我ながら、とんでもない事を言ってしまったと自覚はしている。あそこまでの言葉を並べられるとは思わなかった。
あの紹介だと、和風の風俗店………いかにも、遊郭をコンセプトとしたところに勤めていそうなもの。
1時間5万円くらいは平気で取られそうな高級泡嬢な予感。営業方法では普通にガチ恋という名の太客のリピーターも作れそうなもの。
見た目も可愛いから全然あると思う。私個人の感覚では、ガワよりもリアルの見た目の方が可愛い。
····················私達みたいに、ガワ被っての配信と中身晒しての配信の、両方をやってみるというのはどうだろうか?
その方が収益も上がる………と思われる。
[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]特待生の配信者として活動すれば、事務所のブランドとマネージメントの恩恵を受けながらも、ミーシャ・ローゼンクロイツ・フォン・ロスチャイルドとして、ゼロからのスタートを切れるのでは?って考えている。
私達みたいに、報酬の取り分を大きくもらうというところまでは難しいとしても………額面にすれば、かなりの額を得られるのは間違いないはず。
下手に泡嬢やるよりも安全に圧倒的に稼げるの確定よ。
中身の生配信の紹介文で、私が言ったキチガイ構文を言えば「なんだ、コイツ、頭のおかしい新人が入ったな」っていう印象が根強く残って、それが拡散されていって良い具合にスタートダッシュを決められるのでは?
8期生の馬鹿ルテットの印象操作のお陰で、王道アイドルVTuberとしての活動をしていた[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]は一気に「女芸人VTuberが集う場所」なんて言われるようになってしまっている。
何でもやります!という………大手では絶対に有り得ないような営業方法で展開し始めているので、社長としては王道のドル売りを狙っていたから、社長だけが今の状況には納得しきっていない。
喫煙所でションベン漏らす癖に、そういうところで謎にプライドが高いのが気持ち悪い。演者の前でションベン漏らしているのだから、もはや捨てるプライドが無いのも同然と思っていたが………奴は、そういう心情には至らなかった模様。
愛娘(仮)のミーシャの真ん前で情けなく失禁しても、何事も無く今までの日常を送るところは演者としても向いているメンタルの強さよ。
どうしても経費が足りなくなったら、自分自身が演者となって稼ぐというのもありだろう。
VTuber事務所社長系VTuberっていうのは新しいジャンルだと思う。ただの社長兼業VTuberは少数派や知名度が低いなどはあっても、ゼロではない存在だったが………VTuber事務所の社長自身も演者になるのは革新的だろう。
それに、[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]という大手企業のブランドを誰よりも際限なく使えるという最大のメリットをフル活用出来る。
他の箱の社長もやればいいのにな……とは思う。忙殺されてやる暇がないだろうが!という意見はご尤もでございますが………24時間フルで仕事しているわけでもなく、休日も有り………よく分からない事に時間を使って、結局は資金繰りで頭を悩ませるのならば、その時間を演者としての時間に割くのもありだろう。
それに、配信なんて何をやってもいいのだから。釣りが趣味ならば、ガワを被って釣りでもすればいい。スタジオで釣りでも何でも出来るわけだし。
それこそ、アニメ鑑賞動画でもゲーム配信でもヲタクコンテンツを楽しむことを収益化出来るのが配信だ。
VTuberに関わるヤツなんて基本的に根がヲタクなのだから、「趣味を仕事に」が成り立たせることも出来る。
そこに、自分自身も演者となっているわけだから、実体験に基づいた事務所の運営ということも考えられる。
「自分的にはここをこうした方がやりやすいな」という事も憶測ではなく、経験から判断出来るのは、余計な時間を割くこともなくスムーズに段取りを組めるはず。
私が仮に、事務所作るということになって代表取締役やらCEOやらというポジションに就くことが出来たならば、配信頻度が今よりも遥かに落ちたとしても、意地でもゼロにはしない仕事のやり方をする。
休日とかもダラダラするくらいなら、気の引き締めと趣味を楽しむことを含めて配信した方が有意義だから。




