『20』 家に着きました
「着いたぞ!!ここが俺達の自慢の家だ!!」
「家って本当に一軒家だったんだね。てっきりアパート的なものかと思っていたけど、意外にも普通の一軒家だね」
「俺とユーリが頑張って金貯めて買った家なんだよな。もうようやく買えたって時の嬉しさと言ったら半端じゃなかったぜ!!買った瞬間から、2人で絶対に住もうって気持ちが更に固まったよな」
「うんうん、そう言われると何か恥ずかしいなぁ………」
(だからさ~、そういうやり取りをしないでくださる?)
私は何を見せつけられているのだろう。一軒家を買うって凄いなぁって思っていたのに、その後の2人の会話が謎すぎて、その凄いと思っていた気持ちが一気に薄れた。
早速、ユーリさんが玄関のドアの鍵を開ける。私はガッチリラークさんに未だに襟を掴まれているので、逃げることは不可能だ。
ついに、入ることになっちゃった。
ふぅぅ~、本当に夜中とかに夜中とかに何もされないことを祈るしかないよ。一番心配なのがソレなんだよ。わたしに変なことをしないって言い切って無かったから、心配しかないわけですよ。
ユーリさんが先に入って、私は襟を掴まれたままラークさんと一緒に家に上がった。あまりに色々と不安なので「お邪魔します」という言葉が出てこなかった。
出てきたとしても、言う気は無かったけど。
「ふへぇ~、やっぱり家って最高!!」
「アヤテトは適当にリビングとかでくつろいでいていいぞ?俺はちょっと夕飯の準備するから。あっ、ラークと服を見に行ってきても良いぞ?金はアイツが出してくれるから」
(うーん、服か。確かに、新しい服は必要だね。こんなボロボロじゃ嫌だし)
私の今着ている服はこれでもかというくらいにボロボロになっている。しかも、血まで付いているんだから絶対に買い換えないと駄目だ。
よく今までこれで街中を歩いていたと思う。血の付いたボロボロの服を着た女の子って相当ヤバいよね。
もう、自分も含めて周りにヤバい人しか居ないよ。
あの時、私達を見ていた人って、ラークさん達が叫んでいたのを見ていただけじゃなくて、血塗れの私のことも見ていたってことも有り得るね。あぁ………街行く人達に変なイメージ持たれちゃったよ。
うぅ~、買い換えに行くとしても………その格好もどうするかだよね。ラークさん達から私が着れそうな服って借りられないかな?この際、着れるんだったら何でも良い。
「ユーリさん。私が着れそうな服ってありますか?買い物行く間だけでも借りられたらって思ったんですけど」
「あぁ、うん……そうだな………上着だけでも良いか?」
「はい、上着なら何でも良いです」
「分かった。ちっと待ってろ」
ユーリさんはリビングと隣り合わせになっているキッチンから出ていって上着を探しに行ってくれた。
ユーリさんがリビングを出ていってからすぐに、ラークさんが入ってきた。どうやら今から買い物に行くみたい。
ユーリさんが出掛けるための服を探してくれていることを伝えて、一緒に待つことにした。
何だろうね、ラークさんと2人で居ても不思議と気まずくならないんだけど。今日会ったばかりの年上の男の人と2人きりで一緒に居るって、普通なら気まずくて逃げ出したくなるよね。
まぁ~、会ってすぐに2人きりで街歩いたり、1対1で戦ったんだから今更って感じなのかもしれない。
「アヤヒってどんな服が良いんだ?俺とかユーリって服とかに全く拘らねぇし、女の服なんて尚更分かんねぇぞ?」
「私も拘り無いから、適当に動きやすそうな服を選ぶよ」
「うぃーす。とりあえずこれ着てけ。俺の体から出た天然パルファムが染みついた上着だぞ?」
「ぱ、ぱるふぁむ?」
「ユーリ、ぱるふぁむって何?」
「えっ?知らねぇの?パルファムは香水の一種だ」
「うん、どうでもいいかな」
「うん、どうでもよかった」
「おい、聞いておいて対応が酷いな」
適当に聞き流されて頬を膨らませている(本当にアニメの女の子みたいに膨らませているから気持ち悪かった)ユーリさんから、持ってきてくれた紅いパーカーみたい服を受け取って着てみた。
うん、デカい。普通にデカいよ。捲っても萌え袖になるんだけど。でもまぁ、買い物には困らないし、せっかく探してくれたんだから文句は言えないね。
パーカーを着てから、ラークさんと一緒にリビングから出ていった。ユーリさんは引き続き、夕飯の準備を始めていた。
とりあえず、値段はラークさんのお財布に合わせればいいかな。あまり高いのは選ばないようにしよう。




