『17』 暴走
死にたくない………シニタクナイ………!!
…………ハハッ、ソウダヨネ。コンナトコロデ、シニソウニナッテイルバアイジャナイヨネ……?
「フフフ…………へへへ…………」
「ユーリ、俺が死にそうになったらフォローしてくれ」
力が………抑えられそうにもない力が………どんどん、どんどん体の中から出てきそうだよ。さっきは自分の意識が消えそうになったけど、何とか踏ん張った。
私は地面に落ちている剣を拾って構え直した。今度はラークさんが怖がっているみたいだ。意識を保つのに一生懸命で自分がどうなっているかというところまで気が回らない。
「もう、本当にフルボッコする気で止めな_____」
___シュンッ!!___
「………………………………………………………」
「えっ……?いつの間に?」
「あぁぁぁぁぁ!!!!」
___ゴォォ!!ブォンッ!!___
「うごぁ……!!クッ……!!げほっ……げほっ………!!」
「マズい……!!炎のスキルをモロに食らいやがった……!!」
ラークさんが攻撃をまた仕掛けようとしたので、上手く距離を詰めて私からも攻撃をした。
攻撃は決まった。ラークさんが反応できない程の攻撃をお見舞いすることが出来た。思わず普通に斬りそうになったけど、何とか剣の向きを変えて、斬れない部分でお腹を叩き付ける感じになった。
自分がやったことには自覚があると思えるようになったけど、頭で考えるスピードよりも体が動くスピードの方が速いという、何とも不思議がことが私の体で起きている。まだ、自分で完全に意識して動いていないって事だよね………
ラークさんが剣で叩き付けられた衝撃で地面に向かって血を吐いていた。そして、剣を手放して膝をついてしまった。
そのまま動かなくなったと思ったら、今度は地面にうつ伏せになるように倒れた。
このタイミングで、不安定だった私の意識が自分の意識として復活した。意識が戻ると、倒れているラークさんの元に急いで駆け寄った。どうやら気を失っちゃっているみたい。
「…………ぅぅ………………ぁぁ………………」
「どうしましょう…………」
「嫌、アヤテトは悪いことはしてねぇから気にすることはねぇよ。アヤテトがああいう風になっちまった原因を作ったのは、そもそも気ぃ失ってるコイツ自身だしな」
「そうは言っても、私の攻撃でこうなっちゃったんですよね?」
「ラークもこうなることは分かっていたとは思うぜ?気を失うってまでは思ってなかっただろうけど、最初の一撃であれだけのダメージをアヤテトに負わせたっていうのは、多分そういう意図があったって事だろうな。ってことだから気にすんなよ?」
「は、はぁ…………」
「よいしょっと………コイツを起こしたら、新しいくアヤテトの服を用意してやらねぇと。そんなボロボロの服じゃ街歩けねぇだろ」
ユーリさんは、倒れてたまま意識が戻りそうにもないラークさんのことを背負うと、私に手招きをしてきた。こんな事になっちゃったから、今日の練習はここまでで終わりして、今から街に戻るらしい。
ラークさん………いつくらいになったら目を覚ましてくれるのかな?
あっ、そう言えば肩の傷…………
あれっ?塞がっている?な、何で?痛みが無くなっていたから、何でかなって今気付いて触ってみたんだけど、さっきまであった深い切り傷が綺麗に無くなっていた。
何で治っているの?もしかして………これもスキルの影響なのかな?私って一体、どういう風なスキルをいくつ眠らせているのかな………
これからまだまだ出てきそうで怖いなぁ………