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0.プロローグ リサの場合

 VRMMO――遊ぶのをやめた妹のアカウントを借りて私はこっそり遊び始めた。仮想現実って前から興味あったし、使わなくなったヘッドセットと残された妹の利用期間がもったいないからね。


 そんな初心者な私の前に現れた奇妙な男。そいつは始まりの村近くの草原でモンスターを猛烈な勢いで吹っ飛ばし、ドロップアイテムを拾っては投げ捨て、ただひたすらに戦い続けている。


 これはあれだ。拾っていいやつだ。初心者にアイテムを配るのが楽しいって人だ。

 そんな忙しなく動く男の周りには結構な人だかりが出来ている。落ちてるナイフの輝きに興奮して今まで気が付かなかった。

 先着順? いや、いけるいける。遠慮すること無いって。私は彼の背後から忍び寄って話しかける。


「ねえ、落ちてるアイテムちょーだい」

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