表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天を巡る物語  作者: 竜樹
8/8

第7話 決意

ジルバが工房を覗き込むと工房内では大勢の人がめぐるましく働いている。


「おい、オメーら。ちゃっちゃっと働け。

おい、新入りぃ。そこは後でいいっつったろうが」


そんな中、テラトは檄を飛ばす。


「よぉーし。これなら何とか3日後には終わんだろ」


「テラト。無理言って悪いわね」


ジルバが中に入ってテラトに声をかける。


「なぁに。俺とお前の仲だろーが。

 遠慮するこたねぇよ」

その言葉にジルバは表情を緩める。


「そういやぁ。後の二人はどうした?」


思い出したかのようにテラトが言うとジルバはため息交じりに答えた。


「あの二人なら街にデートに行ったわよ」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「じゃあ次の店に行こうか」


変装のために眼鏡をつけ帽子をかぶったアルトはスバルの手を引きながら次々と店に入っていく。


「わっちょっと待ってよアルトさん」

 そんなスバルの声を無視してアルトは次々に店に入って行く。


 「だ、誰か助けて〜」


 スバルの悲鳴はだれにも届かず。スバルはそのままアルトに引きずられて行った。


その後、日が落ちる直前になってようやくアルトが満足して買い物は終わった。


「それにしても今日は楽しかったなぁ」


アルトは満足気に言う。


「……そうですね」


足取りの軽いアルトとは対象的にスバルはすっかり焦燥しきった様子で歩いている。


「自分で歩いて買い物をするなんて久しぶりだったな。ほら、いつもはろくに外にも行けないからな」


 アルトが呟くように言う。


「やっぱり王族は大変なんですね……」


「まぁね、でももう慣れたよ」


アルトは横を歩いていたスバルが立ち止まった事に気がつき後ろを振り向く。


「どうかしたかい?」


「貴方は王族に生まれた事に後悔した事はありますか?」


そう言ったスバルはいつもののほほんとした笑顔では無く、厳しい顔をしていた。


 アルトはスバルを見て驚いたような顔をするが、ゆっくりと言葉を選ぶように話し始めた。


「……昔は確かに、憎んでいた、簡単に他者を貶めるこの国を。そして、そんな国を治める事になる自分自身を」


しかし、気付いたから、そんな国を変える力を自分がもっていることに、だから胸を張って言おう。


「だが、今は感謝している。王族としての力を。その力を持てたこの生まれを」


「そうですか」


スバルは頷いてアルトの手を取り祈った。彼と彼の妹に祝福があるようにと


「スバル?どうかした?」


 「じゃあ帰りましょうか?」


アルトの不思議そうな声にスバルは顔をあげ何時もの笑顔を浮かべた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ