第4話 食い逃げ
スバルはとある料理店にいたスバルの前には既に山積みになっている皿。そして足元には骨をかじっているレイがいる。
「んま〜い」
なおも食べ続けるスバル。そして5分後、軽く10人前は平らげたスバルは満足気な顔で微笑んでいた。
「ん〜。よく食べた。そろそろ行こうかレイ」
スバルはそう言ってレジに向かった。
「100000Gになります」
「えっ……」
スバルは唖然とした何故なら請求された金額が予想を遥かに越えていたからだ。そしてスバルは自分の財布の中を思い出す。確か、10000Gの札が5枚と少ししか入っていない。あれ?全然足りなくない?
「お客様?どうかしましたか?」
店員が固まったスバルの様子を怪しみ声をかける。
「い、いえ、ちょっと」
スバルは少しずつ、すり足で出口に近付いて行く。そして扉まで5m余りのとこで振り返り、全速力で駆け出した。
「なっ。食い逃げだー。誰か捕まえてくれ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ふーん。食い逃げって本当にいるのか。おい、ビル」
同じ店で食事をしていたらしい青年はその声に反応した。
「なんでしょうか?」
後ろに立っているスーツの男が微動だにせずに応える。
「ちょっと今逃げた娘を捕まえて来てくれないか?」
「了解しました。では暫しお待ちを」 男は青年に向けて一礼をして店を出るとスバルの逃げた方に走り始めた。
「さーて。どんな娘が来るのかな」
残された青年は自分の金髪をいじりながら楽しそうに笑った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「じゃあ、そろそろ行くわ。船は一週間後に取りに来るわね」
ジルバは端末をしまうと立ち上がりテラトに言った。
「おぅ、また用があったら来な」
「ええ、ありがとう」
ジルバはテラトに背を向けて歩き出した。
「そういえば、王子様も今、この星にいるらしいぞ」
歩き出したジルバにテラトは声をかけた。ジルバは足を止めて言う。
「……私には関係ないわ」
そう言うと今度こそ止まらずに工場から出て行った。