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天を巡る物語  作者: 竜樹
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第3話 ジルバの決意

 そろそろ物語が進みますよ〜

 食糧がなくなった2日目、流石に元気無さそうに舵にうなだれるスバル。そして同様にスバルの膝の上でグッタリとしている子犬ことレイ。それに対してあまり変化のないジルバ。

 「う〜、あとどれくらいで次の星に着くの?」


 唸りながらスバルはジルバに尋ねる。


 「大体、1時間位ね」

 ジルバは何かを打ち込みながら答える。絶え間なく動く指を見ながらスバルは言う。

 「ねーなんでジルバはそんなに平然としていられるの?もう丸1日、何も食べてないんだよ」


「もともと私は小食だし、アンタみたいに無駄なエネルギー使わないからでしょ」


 「むー」

 不満気に唸るスバルを見て微笑みジルバは手元の端末に意識を戻す。そこには一隻の船の設計図が映っている。


 「これじゃあエンジン部の装甲が持たないか……」

 ジルバはまた何やら訂正を加えて行く。そして完成した設計図はジャッカルより尚細く、武装も艦首についている主砲の一つだけである。只、極限まで装甲を削り、武装を省いた姿は一種の芸術の様な美しさを見せている。あくまでシャープに速度と運動性のみを追求した機体の姿がそこにはあった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


1時間後


 「ほら、しっかりしなさい。星が見えたわよ」


 ジルバが舵の上でグッタリとしているスバルの肩を揺する。


 「えっ本当!?」


 突然、顔を上げてスバルは前を見る。膝の上で寝ていたレイはビックリして膝から飛び降りた。


 「ワンワン」


 とレイが抗議するかのように吠えるが、スバルは目の前の美しい星に気を取られていた。


 真っ青で何一つよどみの無い星がそこにはあった。


 「惑星レボー、惑星の90%以上が海の星。

 特産物等は特に無いが観光の名所にもなっているためかなり豊かな星よ」

 ジルバが唖然とするスバルに声をかける。

 「凄いこんな綺麗なところがあるなんて。ジルバは前に来たあるんだよね」


 「ええ何度かね。ところで星に着いたらどうする?私は行きたいところがあるけどアンタは?」


 「ん〜。とにかく料理屋に行く〜」


 「わかったわ。じゃあ集合は3時間後に宇宙港に」


 行くわよとジルバはノート状の端末を持ち上げて扉を出て行く。

 「ん〜待ってよ〜。レイ、おいで」


 スバルもレイを抱いて付いて行く。


 赤い宇宙戦、ジャッカルから一隻の赤いシャトルが飛び出した。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 海の近くの工場の中をジルバは歩いていた。工場の中には数多くの宇宙船が修理、造船されている。ジルバはその中でも一際目立つ船の前で足を止めて見上げた。その船は銀色で、そこにあるどの船よりも巨大で武装も沢山積んでいる様に思える。


 「久しぶりだなジルバ」


 先のとがった帽子を目深に被り、まるで浮浪者らしき服装の男性が見とれているジルバに声をかけた。


 「これは?」

 ジルバは男の方も見ずに尋ねた。


 「全く久しぶりにあったのに挨拶も無しか。

 まぁいいか、これは王子様の船だよ。装甲は他の船の2倍、武装はどれも全包囲に撃てる様になっている。まるで自分から突っ込んでいって、全てを打ち倒すためにある様な船だな」

 男は頭を掻きながら言った。


 「王子が……」

 ジルバは複雑そうな表情を浮かべた。


 「で、そろそろ久しぶりの再会の抱擁をしつくれてもいいんだぜ」


 「貴方は変わらないわね。テラト」

 笑ってジルバが振り返る。


 「ふん、お前と違ってもう若くはねぇからな。そう簡単には変わねぇよ。2年振りか?あの頃はアイツも元気だったけな」


 「うん」

 ジルバは暗い顔で頷く。


 「あのちっこかったジルバ嬢もここまで大きくなって」


 テラトはジルバの髪をグシャグシャと撫でる。


 「もう、辞めてください」


 「なぁジルバ、今更かもしれんが海賊なんか辞めないか?アイツの事に何時までも責任を感じる事はねぇぞ」

 ジルバの頭に手をおきながらテラトは言った。


 「……ありがとうテラト。でも私は決めたのあの人の代わりにあの人の仕事をやって行くって」

 ジルバは静かにしかし決意を秘めた口調で告げた。


 「そうか、悪かったなこんな事を聞いて。で、今日は何で来たんだ?」


 「新しい船を造って欲しいの」


 「まぁそろそろジャッカルじゃあ辛くなってくる頃だとは思ったがな。で、ウルフ改かペガサスでいいか?」

 テラトの言葉にジルバは首を横に振る。


 「今、最新の二つの機体たぞ。これ以上に無い機体だと思うが……」


 「これを造って欲しいの」

 そう言ってジルバは端末を差し出した。テラトは怪訝そうに端末を受けとり中を確認する。


 「おい、これは本気か?少しでも被弾したら終わりだぞ」


 「ええ、本気よ。当たらなければいい。それだけよ」

 ジルバは平然ととんでも無いことを言う。

 テラトはそれを聞いて一瞬呆然とするが次の瞬間にニヤリと笑う。

 「おもしれーじゃねぇか。特別に1週間で仕上げてやるよ」


 「そんなことして大丈夫なの?」

 ジルバは呆れた様に尋ねる。


 「いーんだよ。俺の工場だ。予定なんていくらでも変えられる」

 そう言ってテラトは再びニヤリと笑った。

レイ(犬)

年齢はわからないがまだ子供。


 黒と白の犬で白い眉毛がとても愛らしいとはスバル談

 本当はもっと違うふうに出会う予定だった。


初めて動物を使ったので動かし方が良く分からず困っています(T_T)

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