手紙
市井悠先輩
卒業おめでとうございます。
なんて今更変かな。
次期部長のとしての守永唯としての言葉のつもりで書いたんだけど。
悠くんが現役のうちに県大会に行きたかった。
来年は絶対に行ってみせる。
だから応援しててね。
いまだに悠くんが卒業しちゃうなんて全然実感わかない。
悠くん、東京の大学に行っちゃうんだよね。
寂しい…すっごく寂しい。
悠くん、本当に行っちゃうの?
お願いだから、もう少しだけいてくれるだけでいいから行かないで。
悠くんの夢を邪魔しちゃいけないのは分かってる。
でも離れたくない。
悠くん、私、悠くんには何でも話せるって言ったことあるよね。
悠くんは私の一番の友達だよって。
私は悠くんに嘘をつきました。
すっごく大きい嘘。
私、悠くんにひとつだけ言ってないことがあったの。
たった4文字だけ。
好きです。
って。
このたった4文字が言えなかった私を許して下さい。
今の今になるまで言えなかった私を恨まないで下さい。
ねえ、悠くん、東京に行く前にひとつだけ教えてほしいことがあります。
悠くんにとって私は何でしたか。
友達でもいい。
ううん、ただの後輩かも知れない。
けど、悠くんの本音が聞きたい。
私のことを友達だと思っているならこの手紙は捨てて何も無かったことにしてください。
でも他の答えが聞けるなら、悠くん、引っ越しするまでに私に教えて下さい。
大好きだから悠くんの夢を■■したい。
だから、最後に、東京でも■■って■
――手紙の最後は、滲んで読めなかった。
けれど僕の答えは決まりきっている。
ただ、彼女に、唯に伝わればいい。
「 」
勢いで書き上げました。
執筆時間30分程度。
半分ほど実話…
本当に短い作品ですが唯の手紙に込めた切ない想いを感じて頂ければと思います。