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第3話

『契約の儀』から数日後、シュウトは務めのため『契約の儀』に来れなかった長兄のハルカのいる騎士団の詰め所にやってきた。


まだ魔力を扱えていないシュウトに魔力の使い方を教えてくれるとの事でやってきた次第である。


「やぁ、よく来たね。待ってたよ。」


「おはようございます、兄上。今日はよろしくお願いします」


「うん。父上もナツキも『契約の儀』には行けたけど、ちょっとタイミングが悪かったね」


「いえ、任務ですから仕方がないです」


そうこうしているうちに演習場だという部屋の前までやってきた。


「演習場も大勢で使えるところと少人数で使うところがあってね。ここは少人数で使う部屋で今は誰もいないよ」


中に入り中央付近で向かい合う形で座ったのだが。


「この座り方を『坐禅を組む』というんだ。シュウトも坐禅を組んで」


と言われ座り直す。


「まず召喚獣を呼び出して。魔力を感じやすくなるから。まぁ俺がシュウトと契約した鷹を見たいってのもあるけどね」


そうして呼び出された鷹がシュウトの頭上をくるくると回るように飛んでいる。


「うん、じゃあ始めようか。まず手をこう組んで目をつぶる。そしてお腹、ヘソの下あたりに意識を集中してみて」


兄の言う通りに手を組み集中する。少ししてなにか暖かくなるような感じがしてきた。


「なにかぬくもりを感じるような気がするんだけど」


「うん、それが魔力だよ。魔力を感じるだけなら誰でも出来るから問題はここからだよ。その魔力の塊を右手に移動させたいんだけど、これが出来るまでが個人差があるんだよね」


「なぜ、魔力の塊を右手に移動させるのですか?」


「正確に言えば紋章の現れた場所への移動だね。紋章と魔力が一度重なり合う事で魔力を全身に行き渡せられるようになるんだよ」


「そうなのですね。やってみます」


魔力の移動にはかなりの集中力と時間が必要らしい。


シュウトは先程までよりもさらに集中力を高くした。


どれほどの時間が経ったのだろうか、一向に魔力が移動する気配がない。


一息つきたくなり目を開け思わず両手を後ろの床につき深く息をつく。


「へぇ、ずいぶん頑張ったねぇ。これだけの時間をかけてまだ魔力の移動が出来ないという事は今日は難しいのかもしれないね」


「え?そうなのですか?」


兄の言葉にそんなに時間が経ったのかと驚いた。


「うん、やり方は今日教えたとおりだから、あとは家でもやってみて」


「はい」


「あ、そうそう。なにもないと思うけど、万が一の事を考えて外でやってね」


「?わかりました。家の中ではやらないようにします」


「うん、よろしくね」


とりあえずこの部屋にいる必要がなくなったので、詰め所内の飲食スペースに移動する事になった。

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