表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/10

みんなの質問コーナー

(スタジオ照明が柔らかく灯り直される。音楽がやや明るいトーンに変わり、会場の空気もやや和らぐ。司会席に立つあすかは、やわらかな笑顔でカメラに向き直る)


あすか

「ここまで、少しずつ濃度が増してきた議論。そろそろ皆さんの頭も、ふわっと煙が立ちそうかもしれませんね……。というわけで!」


(間を取って)


あすか

「ここで、少しテンポを変えて、スタジオの観覧席からの質問コーナー、“声を聞く時間”をお送りします!」


(軽い拍手。観客席から明るく照らされた一角に、マイクを持つ若い女性が立つ)


質問者(大学生風の落ち着いた女性)

「はじめまして。私は哲学を学んでいる者です。今日は皆さんのお話にたくさん感動して、思いきって手を挙げました。

質問は、ドストエフスキーさんにです。」


ドストエフスキー(穏やかに微笑む)

「どうぞ。」


質問者

「“人は悪を選ぶことで、自分が生きていると感じる”というお話がとても印象的でした。

でも、それは“快楽”や“破壊”を肯定することにもつながりませんか? 悪を肯定する誘惑に、どう向き合えばいいのでしょうか?」


(ドストエフスキーが少しうつむき、考えるように指先を組む)


ドストエフスキー

「……ご質問、ありがとうございます。

私は人間の“内面の矛盾”を、そのまま書こうとした作家です。確かに、悪には一種の快楽があります。

でもそれは“破壊する喜び”ではなく、“自分が何者かだと感じたいという切実な願い”の裏返しなのです。

悪を否定するためには、まず悪の中にある“叫び”を聞く必要がある。その声を聞いた上で、初めて“善”を選ぶ力が生まれます。」


(あすかが感心したように頷く)


あすか

「“悪を否定するには、まずその叫びを聞く”……名言いただきました!」


(場内やや笑い)


あすか

「続いて、もう一つ。今度は男性の方、どうぞ!」


(中年の男性。職業は公務員風)


質問者2

「荀子先生にお聞きします。

“礼”や“教育”が大切というお話、まさに今の日本でも通じると思いました。でも、現代は“個性”や“自由”が重視される時代です。

“型にはめる教育”は時代遅れ、という批判に対して、どう答えますか?」


荀子

「……良い問いだ。まず、“礼”とは“型にはめる”ことではない。むしろ、“共に生きるための作法”を学ぶ場だと、私は考えている。

個性は否定しない。だが、欲望のままに個性を貫けば、他者との関係が壊れる。“自由”とは、秩序の中でこそ光るものだ。」


質問者2

「……ありがとうございます。“自由は、秩序の中でこそ光る”……納得です。」


(あすかが満足げに)


あすか

「名言、連発ですね。じゃあ、あとひとつだけ!ラストは、この方!」


(女子高生らしき明るい声)


質問者3

「カトリーヌ様に質問です!私は将来、政治家を目指してます。

でも“政治って汚い”ってよく言われて、ちょっと不安になります。

カトリーヌ様は“善い政治”って、どうやって保てると思いますか?」


(カトリーヌが穏やかに笑みをたたえて)


カトリーヌ

「それは、すばらしい志ね。

“善い政治”とは、最初から決まったものではないの。あなたが“何のために苦しむか”で、初めて形になるものよ。

誰かを守るために痛みを受け入れたとき、はじめて“善き政治”があなたの中に宿る。

それでも、“悪女”と呼ばれる覚悟があれば……ね。」


(質問者が小さく深く頷く)


あすか(静かに)

「……言葉の余韻が、じんわり沁みてきますね。

それでは、質問コーナー“声を聞く時間”はここまで。ありがとうございました!」


(拍手。観客席がやや明るくなり、温かい雰囲気のなか次のラウンドへ移る準備が進む)


あすか

「それでは、いよいよ本日の最終テーマへと参ります。

善と悪は、対立するものか? それとも……共にあるものなのか?

歴史の知性たちが最後に向き合う、“根源の問い”。どうぞお見逃しなく!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ