表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生令嬢マチルダ・リリカントの過酷な日々  作者: 劇団騎士道主催
第1章 転生と家族と青の祭剣
5/54

5 この世界の事 1

 ……朝です。

 鳥のさえずりと晴天の空から差し込む日光、すがすがしい朝の一コマでしょう。ですが今の気分はよくはないです。

 寝たら元通りなんていうのは甘い考えだったようです。昨日から何も変わっていません。私はマチルダ・リリカントです。

 寝起きはもともと悪くない方ですがあまり熟睡できたとは思えません。頭が重たいですし疲れが取れているように思えません。むしろ寝たことで疲れがたまったのか、と思うほどです。

 ベッドの質が悪いというのは原因の一つでしょう。この世界に低反発枕とかマットレスとかの概念があるかどうか知りませんし。そもそもベッドにスプリングとか入っているのでしょうか。

 あとはやっぱり昨日の出来事が衝撃的過ぎて目に見えないストレスを抱えているのかもしれません。


 そりゃあいきなり異世界にやってきて、いきなりひっぱたかれたあげく婚約破棄、おおよそ一般的な異世界転生令嬢的物語のプロローグを体感していたので無理もありません。

 でも昨日は本当に混乱していて、不安もあって散々でしたけど。クレアに助けてもらってなんとかなりました。

 気分はよくないですが、気持ちは何とか前を向いています。空元気なだけかもしれませんが、何事も気の持ちようだと言うじゃないですか。

 後ろなんて向いてても何も始まりません。


 ベッドから起きて、軽く体を動かします。とりあえずいろんなところを伸ばすと大分、体のつかえみたいなものは取れました。

 そんなことをしているとクレアがやってきました。起きるタイミングを把握しているってことですか?

 それから身支度を始めます。いろいろ手伝ってもらいました。また昨日のドレスみたいなのを着るのか、と思っていましたがクレアが用意したのは今着ている物のような簡易的なドレスです。当然簡単に着られます。後は鏡の前で化粧。化粧道具は意外と私が知っているものに近いですね。今回はクレアにやってもらいましたが、これくらいなら自分でやれることですから今度からは自分でやりましょう。

 最後にお母様からもらったペンダントを忘れずに身に着けます。

 それが終われば今度は食堂へ移動、朝食を摂ります。

 摂るんですが、できれば家族とは会いたくありません。

 昨日はお父様、お兄様とは会いましたがほとんど一方的だったので何とか乗り切れました。でも次もうまくいくとは限りません。ずっと、というわけにはいきませんがせめてこの世界に慣れるまでは極力避けて行動できれば、と思っています。

 といってもさすがに朝食の場に顔を出さないわけにもいきません。とりあえず昨日のことを引きずっている体で無口になりましょう。


 とりあえず意を決して食堂に入ったのですが、誰もいません。首をかしげているとクレア席を用意します。腰かけると他の使用人が手早く給仕を始めます。

 どうやら家族全員忙しいようで朝食は私一人のようです。ほっとしましたが、その原因は多分昨日の一件だと思うので手放しでは喜べません。複雑です。

 昨日はほとんど見かけませんでしたがクレア以外にも使用人はいるみたいですね。

 朝食は普通でしたよ。

 別に違和感は感じません。味に関しては期待していませんでしたけどまあまあな感じです。

 さすがにファミレスとかスーパーのお惣菜なんかと比べると落ちるものもありますが、意外とおいしいですよ。

 確かに見たことのない料理ばかりなのはそうですけど。でも使うのはナイフとフォークとたまにスプーンですし、使い方とかマナーは覚えているので何とか乗り切れました。

 前に読んだ話だと、いわゆる中世~近世は保存技術や品種改良が発展途上だったので今と比べると食糧事情は劣悪だった、とありましたが、この世界の食品はそんないうほどではありません。

 調味料とか味付けもしっかりしていますし、昨日のミルクもそうですし、この世界は見た目こそ中世っぽいですが魔法のおかげか中身は結構進んでいる感じだと思います。

 変な先入観は捨てておかないと後で取り返しのつかないことになってしまいそうです。といっても私は貴族、中でも上位らしいので食卓に並ぶものっていうのは最高品質だと思いますから、これが一般的な物というわけではないでしょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ