時間と見切り
うっかりしてた。
「そして、ここでさっきの公式を使うことでここが解けるってわけ。」
「うん。」
「ここまでは学校でやったね。」
「いえす。」
「ここからなんだけど、実はここをこうすると簡単に解けるんだよ。」
「おお!」
「でもこれには例外があってね、ここがこうだとつかえないんだよ。」
「だろうねぇ。」
私は今、あらかた英語を教えてもらったので数学を教えている。数学は得意ではないといっていたのでどうしたものかと思ったが、意外と物分かりがいい。
「結構わかってそうだけど...なにがダメなの?」
「うーん。原理が分かるのと解くのは別なんだよね...時間が足りないというか、見切りがつけれないというか...。」
「なるほどね。じゃあ教えるよりも、問題集を解いてもらった方がいいか。」
「えー...それはちょっと...。」
「赤点とっても大丈夫なの?」
「大丈夫。赤点は回避する。」
そういう問題ではないだろう。
「はい。とりあえずワーク取ってきて。」
「えー!ちょっと休憩しようよー。」
どうやらもう充電切れのようだ。
「うーん。まあ、時間も時間だしね。」
「やったー!じゃあお茶取ってくるね!」
なるはバタバタと走っていく。また怒られるよ。
ふと、さっきの言葉が思い返される。
「時間が足りない...か。」
勉強に悩んでいたわけではないが、昔同じことを言っていた子を思い出す。見切りをつけれず、全てを中途半端で終わらせることになってしまったあの子の顔を。後悔しているだろうな。私ですらしているのだから。
「ゆうちゃん!ごめん!お茶なかった!」
さっき士郎さんにもらったので最後だったらしい。なるの手にはオレンジジュースが握られている。
「ゆうちゃん、オレンジジュース飲める?」
「飲めるよ。」
「そっかー。私飲めないんだよね。」
「飲めないのにあるんだ。」
「オレンジゼリーは好きだからよく作ってもらってるんだー。」
よくわからない。
「多分違うんだよね。私は分からないけど。」
まあ私も焼き魚は好きだけど海鮮が苦手なのでそういうものなのだろう。
「うーん。色々あってねー。」
「色々?」
お読みいただきありがとうございます。
なんかゆうちゃん保護者みたい...。
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初心者なのでわからないことだらけですが暖かい目でみていただけると嬉しいです。