あっくま!
「おかあさーん」
5歳の娘が台所へ呼びに来た。
「どうしたの?さっちゃん。今おかーさんはごはんのしたくで忙しいよ」
「あっくまが出たのー」
「あっくまが出たの?」
なんのことかいな?はて?
「さっちゃんが大好きなリラックスクマ?」
「ちがうー」
ぶんぶか首を振る娘。
シューシュー!!!
あっやば!お鍋がふいてる。
「あっくまと遊んでおいで」
「やーん」
足をジタバタ。
「じゃあどうしたらいいの?」
「あっくまがおかーさんに会いたいって」
「今忙しいからダメってあっくまに言ってきて」
「うん」
バタバタ走ってった。
……さん、奥さん!
ハッとする。誰か呼んでる。
ぽん。
煙とともにちっちゃなクマのぬいぐるみが空中に現れた。
「あっくま!」
これかー。
「奥さん、タマシイをいただきに来ました」
「あはははは!たーまーしーい?」
可愛らしい声でしゃべるクマに笑いのツボが刺激された。
「あっこのやろう!俺を誰だと思ってやがる?!」
「あはは。あっくま!」
笑いすぎて涙が出ちゃった。
「いいか?お前の家族の誰か1人のタマシイをもらい受ける」
「うん。うん」
その時。
カサカサカサ……。ぶーん!
ぎゃーゴキブリィ!!!
私はスリッパを片手に黒光りする奴を追いかけた。
バシバシバシ!!!
潰してやった!
「約束通りタマシイ貰い受けた」
ドロン!
ちっちゃなクマだったあっくまがもくもくと黒い化身に姿を変えた。
「お前の娘の願いが叶う」
えっ?
あっくまの姿が消えたあとしばらく呆然としていた。
「おかーさん」
「さっちゃん?」
「あのね、あっくまから貰ったのー」
「貰ったのー?」
手を引かれて子供部屋に行くと、前から娘が欲しがっていたプリティキュアキュアの子供用衣装が一式置いてあった。
「さっちゃん、あっくまはどうして来たの?」
「サンタさんにお手紙書いただけだよ」
「それ見せて」
サンタさんにじゃなくてサタンさんにお手紙書いてあった。
うーん、ゴキブリがプリティキュアキュアの衣装に変わったか?!
私はゴキブリを家族だなんて認めてないけど、ゴキブリの方は家族のつもりかもしれんな、と戦慄を覚えた。