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ゴッドハンド


 翌日、僕は買い込んだアイテムをカバンに入れて冒険者ギルドへ向かう。


「おはよう!」

「やあ、いらっしゃい、昨日のクエストならもう決まりましたよ」


 お姉さんがそう言ってギルドの隅のテーブルを囲んでいる3人を指さす。


「お、早いですね」


 僕は喜んで彼等のテーブルに向かう。そこには初心者のような恰好をした少年少女が居た。


「初めまして依頼を出したニースです」

「初めまして!俺はカッツ、戦士目指してます!」

「私はマーシー、魔法使いです」

「あたしはミニー、弓魔です」


 男子はカッツのみ、残りの二人は少女だった。駆け出しの冒険者と言ったところだろう。僕は昔の自分を思い出してにこにこする。


「あの!今回のクエスト目標は坑道の探索とありますけど、目的は他にないのですか?」


 カッツがリーダーシップを発揮して質問をぶつけてくる。


「うん、良い質問だ、今回は探索しつつ少し発掘をしようと思う」


 え?そんな事?という顔を全員がする。そして僕が背中に担いでいる小型のツルハシを見た。


「そうですか、了解しました!護衛は任せてください!」

「はは、頼むね」


 カッツが格好良く宣言したので僕はお願いする。


「では、早速出発しても良いかな?」

「はい!」

「大丈夫です!」

「はい」

 

 全員やる気満々に言いそれで決まった。


 今回向かう坑道は閉鎖されてからそれほど年月が経っておらず、そこに大したモンスターが居ないのは既に知っていた。そこは王城の裏手の山にほど近い散策路の途中にある坑道でアクセスも容易だ。


 僕達は徒歩で1時間程かけて坑道の入り口に到着するとアイテムの確認をする。


「魔光石をもっている人は居るかい?」

「誰も持ってませんが、松明でなんとか……」


 魔光石は高価なアイテムなので初心者の彼等では持っていなくても当然である。


「ならこれを皆に渡しておこう」


 そう言って昨日買っておいた魔光石のライトペンダントを3人に手渡す。


「うわぁ!本物だ!」

「ありがとうございます」

「素敵」


 それをポンと叩くと光始める、寿命はおよそ24時間なので短期の探索には1人1個あれば十分だった。


「では行こうか」

「はい!僕が先頭で行きます」


 カッツが格好良く言い坑道の中に進む。


 3人は気合が入っているが、この坑道には悪魔ムカデしかモンスターが居ないのは先刻承知していたので、僕は全く緊張していない。


「ふむ、皆ちょっと待ってて」


 入口から10分程奥に行くとそこに小さい岩が転がっている。それにレアな宝石の原石があるのを知っていたので皆を止めて採掘に入る。


 ガーン!ガーン!


 僕が小型のツルハシを振るいその岩石を何度か叩いていると何処からか声が聞こえた。


「何をしている、わが友よ」

「……精霊様」


 その声は僕にだけ聞こえる大地の精霊の声だった。


「え?」

「なに?」


 3人がどうしたの?と言う。


「あ、いや、こっちの事だ、気にしないでくれ」


 それから僕は大地の精霊に心の声で話しかける。


「今、鉱物を取り出そうと採掘をしてます」

「そんな事なら我が力を与えよう」


 その瞬間手が熱くなるのを感じる。


「それで採るが良い、わが友よ」


 僕は内なる大地の精霊の言葉を理解し、ツルハシを捨て両手を岩石に当てる。


「こうかな……えーと、うん、採掘!」


 シュパーン!グシャ……


 その瞬間岩石は細かく炸裂して粉々になり、目的だった大きな宝石の原石が転がって見える。


「おお……これは」


 それは間違いなく採掘師の最上位スキルであるゴッドハンドだった。


 僕は大地の精霊からゴッドハンドを貰ったのだ。


「えええ!」

「すっごーいい!」

「何が起こったのだ!?」


 3人はその光景を見て驚愕していた。それは当然で採掘師自体がこの国ではあまり居ないし、ゴッドハンドなんていうSランクのスキルを持っているものは歴史上に数人しか居ないレアなものだったのだ。



「はは、開眼しちゃったみたいだ」


 僕はその大きな原石を手にし笑った。



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