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Sランク冒険者として


 その後、僕は用意してきた魔宝玉を近衛が準備した武器防具に加工していく。


 午前中に国宝レベルの武器防具がズラリと積み上がる。ただ、ホーリーリングだけは簡単に作れないので次回開発する事にした。


 今回作った武器防具の分配や使用方法は近衛に任せるとして僕達は次の計画に移行する。



 その日の午後、王宮の会議室に王宮直属の専門家を集めて会議を開く。


「ここと、ここのエリアをメインに開拓していきましょう」


 会議室の大きなテーブルに広げられた王国広域地図の上を指さしながら僕が皆に説明する。


「こんなところに未開拓の鉱山があったとはのぅ」


 王と同席した鉱山開拓の専門家達が唸っていた。


「実は他にも沢山あるのですが、特に価値のある鉱物や宝石が眠っているのこのあたりです」


「ふむ、実に素晴らしい……グランドロード様の言うとりに開拓しようぞ」


 王が僕の指示を全面的に肯定し技師達に指令をだす。


 技師たちは半信半疑であったが、王の命令で一斉に動き出して翌日から早速開拓がはじまった。


 僕もカッツ達を引き連れてその一つの開拓向かう。



 そこは古くから大量の高ランクモンスターが出る事で敬遠されてきた洞窟だったが、僕が作ってあげた特殊装備でカッツ達は最高レベルの冒険者だ。


 僕はなにも恐れては居なかったがカッツ達には実績がなかったので、彼らに自信をつけてもらう為にも今回はこの洞窟に入った。


「師匠、ここ凄く雰囲気が怖いっすよ」


 カッツが高ランクの洞窟の雰囲気にビビっている。


「大丈夫だよ、君はもうSランクの力があるのだから」

「うふふ、そうよニース様の言う通りよ」


 僕がカッツを励ますとミニーちゃんも同意してくれる。

 彼女は僕が作ってあげたバースト火炎弓を両手で大事そうに抱きしめにこにこして言った。


 マーシーちゃんには僕が今回独自開発した完全防御リングを渡してありそれの試運転を兼ねていたが、前衛のカッツが強すぎておそらく出番がないだろうと思える。


「お!早いのが来るぞ、カッツ構えて、3、2、1」


 バサササササ……!


 大型の蝙蝠の姿をしたモンスターが大量に飛来し、超音波を使ったジャミングで僕らの魔法を封じつつ攻撃してくる。


「おりゃぁ!」


 カッツが見本のような綺麗な動きで暴風の剣を振りまわし、高速で飛来するデスバットの大群を引きつけてくれる。


 バス!

 ドシュ!


 そのいくつかを早くも撃墜していった。



「行くわ」


 ミニーちゃんがキリッとした顔でバースト火炎弓を構えて連射に移る。


 ドドドドドドドドドドドドドドド!


 少し威力を調整しつつカッツの周りを飛ぶモンスターを撃ち落としていった。


 ドサ、バサ、ドタ、ボタ……


 数秒後、モンスターの大群は地面に落ちて息絶えた。正にSランクの力そのものだった。


「よし、上等だ」

「はい!」


 僕がミニーの肩に手を置くと彼女も喜んだ。



 その後、洞窟の奥へ中ランクのモンスターを討伐しつつ採掘を進めていくと愈々ここの主とでもいうべきモンスターの軍団が現れた。


 それは嘗てこの洞窟で命を落とし、死霊系モンスターへと作り変えられた哀れな元冒険者のアンデッドとそれを使役するロードクラスの死霊モンスターだ。


「今度のは少し手ごわいから用心しよう、マーシーちゃんの出番だ」 


 僕が指示をだすとマーシーちゃんが腕に嵌めた魔宝玉のリングを前に差し出し対アンデッドの魔法をとなえる。


「ライフウェーブ!」


 フォーン


 それは対生物では回復を促す魔法だが、アンデッドには極大のダメージを与えさらに身動きを封じるものだ。

 

 元冒険者のアンデッド達は遠方から放たれたライフウェーブに抗えずに固まる。


「ギギギ……」


 ドドドドドドドドドド……


 ボォオオオオ……

 

「ごわぁああ」

「ぎょぉおおお」

 

 それをミニーちゃんがバースト火炎弓で留めをさすと、アンデッド達は燃え上がり崩れ落ちて土に還っていった。


 グシャ、グシャ……



「貴様らぁあ!何者だ!」


 その圧倒的な制圧力を見たエルダーリッチが激怒して叫んだ。彼はこの魔窟を長年支配してきた死霊系のロードである。


 彼だけはマーシーちゃんのライフウェーブに抗って声を上げることが出来ていたのだ。


「僕らは初心者冒険者さ」

「あはは、ごめんなさい」


 ドドドドドドド


 僕が軽く言うとそれに合わせるようにミニーちゃんが矢を放つ。


「グレートウォール!」


 エルダーリッチは土の魔法を使い地面から岩石の壁を立ち上げて矢を回避していた。


「なるほどね、ではその土の属性は僕が抑える……土よ僕に従え!」


 僕が手をかざし念じると、岩石の壁が崩れて消滅した。


「なにぃ!」


 それで土は僕の支配下になりエルダーリッチは狼狽していた。彼にとっては初めての事だったのだろう。


「どりゃぁ」


 カッツは壁が消滅するのを見ると勇敢にとびかかり暴風の剣でエルダーリッチを粉みじんに粉砕する。


 ガガガガガガガドォン!


 ガシャーン……


 カッツの圧倒的な物理の打撃の嵐を受け、エルダーリッチは一言も発する暇もなく粉砕されて消滅した。


「やったぜ!」


 カッツは大喜びして勝利を宣言した。



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