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グランドロード伝説


「どうぞ」


 貴賓室の扉をセスが開けて中に案内する。

 そこは小国でありながらもとても贅沢な内装を施された部屋だ。中央に丸テーブルがあり、特定の人が談話、食事をするような為のものらしい。


 召使に椅子を引いてもらい、全員で腰を降ろして用意されたお茶を飲みくつろぐ。


「自己紹介が遅れました、私は王国の王子マール・デ・カルドハルト2世です」


 父親の王が1世なのは既に知っている。


「これは我が妻、マリアです」


 王が王妃を紹介する。


「どうも、初めまして」


 皆一様に緊張しているようだった。



 その後直ぐに食事の用意がされて、テーブルに皿が並べられグラスに酒で乾杯をする。


「本日は我が王国にとり、めでたい日である!グランドロードの降臨を祝して乾杯!」 


「乾杯!」


 一斉にグラスを煽って最上級の酒を流し込む。鑑定をするまでもなくそれは僕が今まで飲んだことのない物だった。


「おいしいですね~」


 つい酒場のノリで言ってしまうと、一瞬戸惑ったような間をおいて王子が合わせてくれる。


「でしょう!実はこのお酒のセレクトは私がしたのだ」

「あはは、王子ったら」


 王子が少し大げさに言うと王妃が笑う。王も釣られて嬉しそうにした。


 王子とは酒の趣味が合いそうだ。


「ですが、ニース様は鑑定師だと伺っています、私の趣味でお恥ずかしいのですが……」

「いえ、とてもおいしいですよ、王子は良いセンスをしておられると思います」


 僕の事はセスから色々と聞いているようだ。それなら話が速いと思い、早速鉱山開発の件を切り出そうとする。


「僕の趣味を言っても良いですか?」

「ええ、もちろん!是非聞かせてください」

「僕は鑑定もしますがアイテムの製作をしたりするのも趣味にしているんですよ」

「へぇ、それはどんなものでしょうか?」


 王子は僕の話に乗ってくれた。


「セスさんに渡したのですが……今はマジックアイテムの開発をしています」


 すると、セスが鞄から魔宝玉を2つ取り出して見せた。


「この赤い方が炎玉と命名したもので、炎の魔力を強化するものです」

「え!」


 僕の予想通りその場の全員が驚いていた。


「この炎玉と氷玉の2つを王家に献上しようと思います」


「ほほぉ……これはこれは……なんと見事なものだろうか!」


 僕が言うと王が意外にも喜んでいた。国宝級のアイテムなので当然と言えばそうなのだが。


「それとお近づきの印に、これも」


 僕はポケットから出した守護の指輪をテーブルに乗せ、セスに目配せすると彼はそれを手に取り王等にそれぞれ1つずつ手渡した。


「これは、あらゆる魔法攻撃を緩和する効果がある魔宝石がセットしてある指輪です」


 実は細かく砕けた宝玉から作ったもので、大量に作れてしまい誰にプレゼントしようかと悩んでいたのだ。あとでセス達にもプレゼントしようと思う。リングさえ仕入れればまだいくらでも作れるのだ。


「これは凄いものだね」


 と王子。

 

「ほほぅ……」

「まぁ、なんて素晴らしい方なのでしょう」


 王妃が大喜びしてくれる。作った甲斐があった。


「それでなのですが、宝玉のアイテムを製作するにあたって鉱山を開発したいのですが」

「そういうことなら是非お願いします、王国を上げて協力致します」


 王子が即承諾した。


「正に……正に伝説のとおりですな……」


 王が言う。


「伝説ですか?」


「うむ、王家に伝わる伝説なのだが、聞いてくれますかな?」

「ええ、勿論」


 僕はこの手の話が好きだった。


 王によると王家だけに口伝で残された伝説があるのだ。

 それは、数千年に一度だけグランドロードが宝玉を携えて現れ民を救うのだという。


「後程、我が王家に伝わる家宝をお見せしたい」


「それは楽しみですね」


 王が国宝を見せてくれるという。

 

 僕はそういうアイテム類が大好きなのだ。鑑定師冥利に尽きる。


 その後、特上のディナーを食べならが僕の冒険者時代の話などをした。


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