00 プロローグ
私に一体なにが起こったの?
視あげている天井は、視た事のない天井だけど……。
そして、ひどく眠い……。私はもう一度寝るつもりで眸を瞑り、貌にあたる明かりから逃れようと貌を横に向けようとしたけど……。
あれ?
なぜか体躯が動かなかったのだ。
一瞬金縛り!?と思ったのだけれど、どうもそうでないみたい。
手足に感覚が通ってないような、うまく言えないけどそんな感じ。
私は声を出そうとして、
「あぅ~」
まともに声すら出せない事に気が付いたのだ。
何々?どうしたのこれ?
若しかして、もしかすると、モシカスルニこれは夢の世界?
そんな思いを抱きながら、私は唯一自由になる眼だけを必死に動かしみた所……。
不意に上から誰かがのぞき込んだのだ!
やだ、何それ怖い。
と、一瞬思ったものの、ピントの合わない眼を頑張って凝らしてみるとどうやら女の人みたい。
それはまるで女神様のような、慈愛に満ちた貌に感じられた。
女神様って本当にいたら、こんな感じなのかな?
やっぱりこれは夢の世界なんだね。
と、思っていると、
その女の人は私の頭を優しくなでなでしてくれた。
その触り方はとても愛情を感じられる触り方で、まるでお母さんみたい。
触られる度に、心が平穏になる感じ?
そしてその安心感に包まれながら、再び私が眸を閉じようとすると、
私のいる部屋から、バタバタバタっと今までにない物音が聞こえた。
「国王陛下!ご足労ありがとうございます」
と、声がかかる。
えっ!?
国王陛下?
その言葉に私はびっくりする。
「うむ、そのままでよい」
渋い男の人の声が響くと、女性の代わりに男の人が上からのぞき込んでくるでは無いですか。
良く視えないながらも、頭は白いもので覆われているらしい。
おじいちゃんである。
「良い貌をしているな、どうだ私に似ているか?」
「はい、眼元などはそっくりでございます」
「はははは、そうかそうか」
衝撃的な事実が今、明かされました。
今の会話から連想するに、私は国王陛下の子供!?
という事は最初にのぞき込んでいた女の人は女神様などでは無く、私の母親の可能性が高いではありませんか。
そして女性――私の母親らしき人が、私の体躯を静かに抱き上げる。
その時初めて自分自身の腕を視る事が出来たがとてもとても小さい。
そう――赤ちゃんの腕だったのだ。
……これが私なの?
言葉を喋ろうと口を開くも出てくるのは「あー」だの「うー」だの言葉にならないものばかり。
私は完全に赤ちゃんになっていた。
どうなっているのかしら……。
「陛下、この元気な子に相応しい名前を付けてやってくださいませ」
「……この子はジェーンと名づける。どうだ?」
「素晴らしいお名前です、貴女の名前はジェーンですよ」
と、女性はジェーン、ジェーンと連呼しながら私をあやし続けていると、
「陛下、宜しいでしょうか?」
と、男の人から声がかかった。
「ジェーン様のご身分はいかがいたしましょうか」
「勿論私の子、王女として育てる」
「陛下!ありがとうございます」
えっ!?
どういう事?
若しかして、いえ若しかしなくても正妻の子じゃないよね……。
そして、私の母親らしき女の人はとてもとても喜んでいた。
そして重要なのが『王女として育てる』という言葉。
何?私って王族なの?
本当にホント?
ツイ貌がにやけてしまった、勿論赤ちゃんだからうまく笑えないけど。
私の挙げる「きゃっきゃ」とした声に、
「陛下のお言葉にこの子も喜んでいるようです」
「おぉ、そうかそうか」
と言って陛下も、私の貌を覗き込み、頭をなでなでしてくれた。
とりあえず、国王とはいえ、自分の子供は普通に扱ってくれるみたい。
と、いってもその風貌では父親というよりおじいちゃんと言った方が相応しいと思うけど。
「ヘイルウッド」
陛下の呼びかけに側近らしき人物が素早く歩み寄る。
「はい、陛下」
「この子――ジェーンの適性はどうなっている?」
「診断ですと俊敏が高く属性の中では土属性に適正があるようです」
「なるほど、それでお前はどう思う?」
「サセックスの地ではどうでしょうか?あの地であれば土属性との親和性も高いかと」
「では将来の封土候補はそこに、……最もその子が無事に育てばの話だがな」
「ははっ」
「では私にもこの子の適性を視せよ」
「ははっ」
すると、別の男性が私の頭に手をかざす。
<看破>
すると、私の体躯に文字が沢山浮かび上がった。
人の適性を直接、視る事が出来る魔法だ。
そしてそれを視た、陛下を含めた部屋にいた者が感嘆の声を上げた。
勿論私もびっくりする。
――――――――――――
名前:ジェーン・ウィンザー
LV 1
HP C+ 火 C
MP E 氷 D+
筋力 B 風 F
生命 C 土 A+
魔力 E 雷 D
精神 C 水 E+
敏捷 A 光 E
器用 D 闇 F+
――――――――――――
「おおお、土がA+とは英雄級の適性ではないか」
「さすが、陛下のお子でございますね」
「はい、ですが、厳しい事を言わせてもらとMPと魔力の適性がEなのが気になります」
「筋力や敏捷も高い……。惜しいな、これが男であれば」
「ですが、臣下として、次代王妃様の近衛としてなど、いろいろな将来が考えられるのでは?」
などと、皆が騒いでいる中、私も思わぬ自分の適性にびっくりしている。
そして、これが私が新しい命に転生した、人生の始まりだったのである。




