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コミュ障になった俺とコミュ障だった彼女の不可解な生活  作者: 戦告
第八章『学校という小さな世界』
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第88話 策略会合

 生徒会。会長の選りすぐりのメンバーが集う、学校一の場所。普段の生徒会の死後にプラスして委員会等で遅れ、不備があった場合のために、代案をも決める裏の顔も持つ。俺は明李と共にその場所に入ったのだが、見た光景は想像以上だった。


 生徒会役員は会長を入れた11人で構成されている。その10人は一人ひとり専用の机があり、黙々と仕事をこなしていた。その中に一際綺麗な茶髪の女の子も見つけた。

 一人、暇そうにしている会長は俺達を見るなり驚いた表情を見せた。


「今日は来客が多いな……。要件は大体察しが付くが、とりあえず座ってくれ」


 俺達は役員たちとは逆方向にある簡易的な椅子に腰を下ろした。来客が多い?大体察しが付く?エスパーかよ。俺はそう毒づいた。会長はそんな俺に気づいた様子はなく、向かい側に座った。


「一応訊くが何の用だ」


「……大体察しが付くなら当てたらどうだ?」


「ちょっと?!……私から話します。今日、再起部に新たな依頼がありました」


 明李は事細かく丁寧に会長へ情報を流した。話したくないと言っていたが俺の態度を見て自分で言うと判断したのだろう。会長はその間、何も言うことなく黙って耳を傾けていた。

 そして話し終えた後、


「そうか」


 とだけ言った。それ以外に紡ぐ言葉ないと体で表現していた。


「……生徒会長なら情報ぐらいあるだろ」


「ある。そこは断言しよう。だが、話すかは別問題だ」


 その時、やつれ気味の男2人が会長に書類を渡した。どうやら生徒会役員のようだ。会長にこき使われ、満身創痍ではないか……。

 会長は当たり前のようにそれを受け取り、目で行けと合図を送った。報われない努力。まるでサラリーマンのようだ。これでよく生徒会なんてやれてるな……。多くを担っているということはそれだけ負担や疲労といったものが多くなるということなのだろうなと俺は目の前にいる二人を見て思った。


「御苦労。これで先に進める。感謝する」


 だが、会長からの時間差お礼で2人は元気に戻った。全くどんなカリスマ性だよ……と呆れが出るが、そこにいちいち疑問を持っていてはこいつとは話せない。


「どうにかなりませんか?」


「どうにかしたければカードを切ることだ」


「先生からの依頼なのですが……」


「……ますます引けなくなった。生徒会としては今回、再起部を援助することはできないな」


「……なら個人としてならどうだ?」


「言葉の揚げ足をとる、か」


「まぁ、仕方ないですよね。相手は生徒会会長ですから」


「仕方ない。そういう含みを持たせた言い方をした俺が悪かったということにしよう。だが個人として援助するといってもお前達は何を俺にもたらす?」


 まっすぐ射貫く眼光は鏡に反射したような光のようだ。中途半端なものでは簡単に壊されてしまう。そんな予感さえする眼光。明李は必死になって彼女なりに俺の援助をしてくれている。俺はその援助に少しでも応えてやりたい。


「……安心と平穏、そして安全でどうだ」


 分かる人には分かるように、分からない人には分からないように言葉を選んだ。会長は俺からの条件を呑むか思案している。

 明李が俺のシャツをくいっと引っ張ってきた。


「どういう意味ですか?」


「……相手が一番手に入れたいもの、相手が望んでいるものを提示しただけだ」


「あの、さっぱり分から」


「分かった。条件を呑もう」


 明李は完全に話から追い出されたようだ。少し可哀想なのでここを出たら話してやろう。


「……了解した」


「先ほど、風紀委員長も訪ねてきたが、その時は追い返した。頼りないというわけではなく、情報が確定していなかっただけだが」


「……さっきの書類か」


「そうだ。お前たちがこそこそと話している間に目を通したが、当たりだ」


 そして会長は話し始めた。

 先生たちが再起部へと依頼を出す以前から、派閥に対しての抑制をかけなければと思っていたらしい会長は、これを機に調査を開始した。その内で浮き彫りになったのが一人の少女だった。その少女は“五本の指”に数えられる一人なのだそうだ。


 ここまではどこにでもある話だが(?)次からが波乱だった。

 少女はある家庭の事情により、今月いっぱいで転校するらしい。そしてそのことを聞いたその彼女の派閥組が荒れ狂い、他の四人に対する誹謗中傷まで起こしたらしい。そして馬鹿にされたほかの派閥の人間が黙っているはずもなく……。


「今のところ水面下ではあるものの、いつ激化してもおかしくはない」


「……その人の名前は?」


「水原結女」


 ハッと隣で息をのむ声がした。どうやら知人らしい。明李も“五本の指”の一人。顔見知りでもおかしくはないか。

 ガタンッ!と勢いよく椅子を引いた音が鳴った。ロングの茶髪をたなびかせながらこちらへと向かってくる美少女。彼女は会長の隣に座った。


「業務は?」


「あら?会長も個人として再起部に協力するのならば私も問題はないはずですが」


 超仕事モードの美玖は会長をあっさりと打ち負かし、堂々としていた。美玖も明李も“五本の指”の一人。相通じるものがあるのかもしれない。


「美玖ちゃん……口調が固いですよ?」


「まだそういう時期じゃないので」


 時期?と首を傾けていたが、放置放置。それを説明する時間もないし気力もない。


「個人と明言した以上、反論できんな」


「……その情報を集めてどうする気だった?」


「どうする、情報が今確認できた以上、すぐにというわけにはさすがの俺でも」


「嘘は結構です。教えてください」


「はぁ……。情報を知った瞬間に、学校を利用しようと考えた。俺は幸いにも生徒会長だから、ある程度の権限が学校の仕組み上、与えられている。後はわかるだろ?」


「……まぁ、分からないことはないがいろいろと聞きたいことがある」


 うんうんと頷く美玖と明李。2人とも疑問に思った点がいくつかあるようだ。会長は特に嫌がることなく質問を待っている。個人の取引というやtの効力なのだろうか。


「私から……。会長がどうしてそこまでこだわるのか教えてください」


「俺の目指す学校のためだ。本来なら、この時期に起こしたかったのに、少しずれた」


「私からも一つ。会長と結女ちゃ……水原さんの接点は?」


「ない。向こうは俺を生徒会長としてなら知っているかもしれないが、その程度だ」


「……お前はこの件の情報を話してどうするつもりだ?」


「先ほども言ったが、依頼が先生から出ている以上、生徒会として援助することはできない」


「あれ?でも今は個人の取引ですよね」


 明李がナイス突っ込みを入れる。ここまでは調べ上げた会長の腕や生徒会役員を使わなければ俺が動かなければならなくなる。それはいろいろと面倒なので避けておきたい。


「……もう一度訊く。どうするつもりだ」


「お前達に一任する。俺という存在を使いこなして見せろ。……だが、再起部の下にはつかん」


「……俺が部長ではないからか?」


「訊くな」


 有無を言わぬ口調で返された。俺の読みとしては再起部の元部長であった瑞山壮一の下になることが許せなかったのではないか?と思っている。

 美玖は口元を抑えてくすくすと笑いを堪えていた。

 ……当たりかな?


「……情報を部長に流してくれ。そして指示を仰げ」


「それはいいけど潤平は?」


「……少し調べたいことがある。会長、あなたには引き続き情報の収集を任せる」


 俺に何も言われなかった美玖が寂しそうだったのは気のせいだろう。

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