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コミュ障になった俺とコミュ障だった彼女の不可解な生活  作者: 戦告
第五章『夏休み、双子の悪魔編』
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第55話 悪魔の魔法

 次の日、俺は申し訳ないと思いつつも一見のメールを送った。要件は勿論、恋バナの事。2人の悪魔が居て困っていることも書いておいた。

 そして一時間ほどすると、返信が来た。


『お昼から行きます。それまで頑張って』


 俺はこの言葉で3日は寝ずに頑張れそう。


「どうでしたか?」


「……昼から来るそうだ。それまでに何としても俺の部屋は片付けておかないと」


 美玖が家へと久しぶりに来る。本当は汚いのね、と思われたくはない。


「もうやった」


「……は?」


「だから、もう片付した。ボク達二人で」


「か、勘違いしないでください。私達が少し反省しただけですから」


 そんなハプニング(?)があってからしばらく……。


「こんにちは」


「……どうぞ」


 美玖が訪ねてきた。こいつら2人が居なかったときに美玖を家へ呼んだ時は相当緊張したが今日はさほど緊張していなかった。

 俺は既に食べ終えていたが2人はまだ昼食中。2階で食べているはずなので俺の部屋へと通した。


「久しぶりだね」


「……海以来か」


「あっ!あの件は思い出さなくていいから」


 残念。それは思い出せと言っているのと同じです。俺は思い出したが、黙って言われたとおりにする。


「恋バナ、訊かれたんだ」


「……あぁ」


「何年生?」


「……5年生だ。俺達と時期が同じで言いづらい」


 美玖はベッドを背もたれ代わりにして座り、俺はその美玖の隣へと座る。中学三年生の春休みからの形だ。それ以前は遠く、向き合うような形で会話をしていた。


「それで私に言わせるの?」


「……いや、そういうわけじゃないけど」


「ごめんごめん。嘘だよ」


 美玖はふわりと笑った。その和む表情と声に俺は脈拍が上がる。外で会うよりも緊張する。外では雑音が多い、しかし内では声した聞こえない。外では歩きながら、食べながらだが、うちでは目を合わせたまま話す。


「潤平君の周りには女の子が多いよね」


 急な話題転換。しかし俺はすぐに対応する。


「……気のせいだろ。莉櫻や、会長もいる」


「麗律も大原先生も2人の従姉妹だってみんな女の子じゃん」


 全員、性別は「女」かもしれないが俺の恋愛感情が動く人間はその中には居ない。美玖は拗ねたようにそっぽを向いた。


「……そうかもしれないが俺に恋愛感情は無いよ」


 特に大原先生。奴隷願望がある人にはオススメ物件。俺は嫌だけど。先生としての技量やテクニックから見ればいい先生なのは間違いないだろうが……。


「でも今、私以外の事考えてたでしょ」


 俺の思考は美玖によって中断された。どうしてわかったのだろうか。俺は美玖に一歩近づき、訊ねた。


「……どうしてわかったんだ?」


「なんとなく?彼女だからかな?」


 ズキューンッ!と俺の心臓に穴が開いた。彼女だからかな?だって?!可愛い。

 だが、彼氏であるはずの俺には美玖の感情を読むとることが出来ない。顔によく出るタイプであるはずの美玖なのに……。そこら辺のガードは固いのかも。


「……美玖に隠し事は出来ないな」


 する気は無いけれども。


「私もわかりやすいと思うんだけどな……」


「……あれ?そうなのか?」


「あ、もしかしてわかってなかった?余計なこと教えちゃった」


 いいじゃん。そのまま言っちゃってください。


「当ててみてよ」


「……え?」


 唐突に振られてしまった。4年間見てきて分からなかったのにどうしてわかると思ったのだろうか。

 と、今までの俺なら言っていただろう。しかし、今の俺は水族館から結構頻繁に遊んでいるため、すでに見当はついている。


「ほらほら」


「……頬の高さ、だ」


「え?」


 分かってたの?と眼を丸くする美玖に俺は心の内でガッツポーズした。


「……美玖はいつも楽しそうに笑うが、何かあるときは少しいつもより高めに上がる」


「すごーい。私自身、そんなにしっかりと分かってなかったよ」


 美玖に褒められると嬉しくなる。両親が不在で兄妹も居ない。学校では無理難題としか思えない仕事を振られて死ぬ気だこなす。……あぁ、褒められるって素晴らしい。


「……美玖だからな」


「私ってそんなに分かり易い?」


 俺は答えなかったが、美玖はすぐに顔を崩し、話を変えてきた。


「潤平くんは忙しくて私と会ってくれないんじゃないかと思ってた」


 今、「くん」と砕けた?砕けたよね?!

 俺は美玖の言い方が変わったことに喜びを覚えた。美玖は固い。初対面かのように話す。それは俺が付き合い始めてからもその前もずっと変わっていない。

 あの遊園地の一件以来、心でつっかえていた小骨がすっかり抜け落ちたように感じた。莉櫻と同じ呼ばれ方謎御免だ。俺は美玖の特別で居たい。たとえそれが他人には気付かないような「君」と「くん」の違いでも俺は一向に構わない。


「……会うさ。ありがとう」


「仕事は大丈夫なの?それにありがとうってなんで?」


「……明日から会議があるけど、すでに手は打ってる」


「潤平くんの言ってた2人の子はどうするの?」


「……大人しく……殿は無理だろうが留守番だな」


 会話だけをとると、新婚のような感じがする。美玖は「そっか」と話を中断させると解体でポチポチと何事かを打ち込み始めた。

 それが気になり、つい覗き見をしようと美玖に近付く。


「潤平くん近い!」


 嫌悪感ではなく羞恥心で言っているので超かわいく見える。そして軽くしか反発してこないので簡単に片が当たるほど、近づけてしまった。


「……何を送ったんだ?」


「お母さんに、今日は麗律の家に泊めてもらうっていう嘘。だから………泊めてください!」

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