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コミュ障になった俺とコミュ障だった彼女の不可解な生活  作者: 戦告
第四章『夏休み、海編』
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第48話 水着事件

 この場所には、海水浴場にもかかわらず、見事なシャワー設備が整っている。海水が染み込んでべたついた肌や、塩水特有の倦怠感が残る身体をきれいさっぱり自分好みの温度で洗い流すことが出来る。

 しかし、その設備は素晴らしいのに、問題が1つあった。それは男女別ではない、という事だ。

 俺はシャワーを浴びた後は速攻で私服に着替えたい派なのだ。海パンはぬれていて気持ち悪いし。パンツを穿いていないのは何故かそわそわするのだ。


「なぁ、個室ってないのか?」


「あるのは頭と足が見えるドアやつ」


「潤平君見ちゃだめだからね」


「……みません」


 俺達4人は帰り支度を済ませ、後はシャワーを浴びるだけだった。真鐘には泳がなくていいのか、と訊いたのだが、その時に「早く帰って写真見たい」と、言われてしまった。

 取り敢えず個室と呼んで良いものは3つしかなかった。つまり全員が個室を選ぶと1人が待たなければならない。


「……みんな個室希望か?」


 それぞれ頷いてくる。


「ジャンケンで負けが残りな」


 如何にも男子が言いそうなことを真鐘が言った。ジャンケンは苦手なのだが、ここで嫌と言ったところで他にいい案が出ないことは明白。大人しく従うとしよう。


「俺、こういう時の運は強いんだ」


 フラグか?フラグであってくれ。

 莉櫻はやる気万端で握り拳を作り、構えていた。美玖、真鐘もいつの間にか拳を作っており、俺も急いで同じように拳を作った。


「「「じゃーんけーん」」」


 一瞬の間。素晴らしいのかはわからないがリズム音痴でもこの間だけは他人と合わせることが出来るから不思議なものである。


「「「ぽん!!!」」」


 グー、グー、パー、チョキ。あいこだ。


「「「あーいこーで」」」


 一定の間。


「「「しょ!!!」」」


 グー、グー、グー、チョキ。……あ。


「おっ。決まったようだな」


「1人だけがすぐ決まるとは思ってなかったな」


「私だけしか手を変えなかった……」


 フラグは何処に行ったのだろうか。俺は何も建設した覚えはないのだが……。何故か莉櫻のフラグがこちらにめぐってきた。

 しかし、どれだけ俺理論(言い訳ともいう)を展開したところで、負けは負けである。


「……俺も浴びるからな」


「はいはい。そこら辺であくまで待ってろ」


 3人は一斉に俺を置いてシャワー室へ入っていった。一瞬、莉櫻の個室突入して一緒に浴びてやろうかと思ったが、行動には起こさなかった。

 誰がそんなBLを望むのだろうかと考えなおしたからであった。

 しかし困った。……暇なのである。ここで誰もいないが待っていないと順番を確保することが出来ないからだ。これ以上3人に後れを取る訳にはいかなかった。

 その為、泳ぎに行くこともエリアで休むことも、莉櫻がずっと囚われていた砂場にまだ残っているかなと見に行く事も出来ない。


「……はぁ」


 全ての原因はこの右手だ。俺は昔からジャンケンが弱かった。小学生時はそれでも陽キャラとして活発に活動していたので脚は早く、鬼ごっこなどではさほど困らなかったが。

 10分後。


「潤平君、どーぞ」


 最初はてっきり莉櫻だと思っていたのだが出てきたのは美玖だった。

 俺のために少し急いでくれたのか、と思うとうれしくなる。

 美玖は既に服を着ていた。水着ではなく私腹を。そこまで終わっているのに莉櫻達より早い。・


「……ありがとう。少し早くしてくれたんだろ?」


「さぁ。どーだろうね」


 ふふっと微笑む美玖を見て、俺は俺のために速くしてくれたことを確信した。

 シャワー室のドアを押して入ると俺は絶句した。俺は美玖が使っていたシャワー室に入った。それ自体は何の感情もない。そこに沸いてしまうともう変態である。では何か。それは、


「……水着」


 美玖は私服だった。そして俺のために急いでくれた。しかし、そのせいで水着をバッグに入れ忘れたらしかった。届けなければとすぐに思ったが、ちょっと待てよともう1人の俺が止めてきた。

 触るのか?触れるのか?水着ぐらいでと思うかもしれないが、俺にとっては結構な死活問題であった。


「……取り敢えずシャワーを浴びよう」


 身も心も洗い流す、を体現しようではないか。

 水着を脱ぎ、シャワーを浴び、タオルで拭いて、下着を穿く。


「……まさか俺がな」


 このようなラノベ展開に直面するとは思わなかった。

 心なしか震えている声に気合を入れて、どうするべきかを考える。

 タオルで包むか?

 それは俺が使ったものしかないから無理だ。

 手で持っていく?

 どう持っていくというのだろうか。大事に持っていけば変な勘違いをされてしまいそうだし、かといってつまんで持っていけば最低だと思われてしまう。


「ふーっ。気持ちよかった」


 ……あっ!

 俺はシャワー室から真鐘の顔が見えた瞬間に作戦を閃いた。ドアを開け、真鐘を呼びとめる。


「……ちょっと助けてくれ」


「!?おい。下着でうろうろすんな!服を着ろ服!!」


 おっと今はパンツだったことを忘れていた。


「……あとで着るから美玖の水着を持って行ってくれ」


「ん?美玖の水着?お前、変な事して……」


「……してないから。早くもって行ってくれ」


 今になって公衆の面前でパン一が恥ずかしくなった。

 真鐘ににらまれながら美玖の水着を持って行ってもらった。


「潤平?その格好で麗律と何を話していたんだい?」


 ひぃぃぃっ!後ろからビックリしたぁっ!莉櫻も終わったらしく私服で俺を卑下してくる。


「……水着事件だ」


 莉櫻は盛大な勘違いをしたらしく、誤解を解くのに時間がかかった。……服着ないと。

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