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コミュ障になった俺とコミュ障だった彼女の不可解な生活  作者: 戦告
第四章『夏休み、海編』
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第40話 水着披露

 案の定、海水浴場は遊園地の隣の場所が選ばれていた。俺達は全員水着の上から衣服を着ている。この海水浴場は珍しくシャワー設備が整っていた。……非常に助かる。


「えーっ!!麗律はあれじゃないのーっ?!」


「あれは自分らしくないから嫌」


 今日はお団子にしている美玖が驚きの声を上げる。


「アレって何?」


「う、うるさい。莉櫻のバカ」


 何もしていないはずなのに急に罵られる莉櫻。だが、彼はそこで落ち込むような奴ではなかった。


「で、なんだったの?美玖ちゃん」


「水着。私と麗律でお互いのを選んだのに……もう」


 途中から莉櫻ではなく真鐘に言っているように聞こえる。


「……美玖が着ている水着は真鐘が?」


 ダサかったら許さない。まぁ何を着ても似合うのだろうが。


「期待してろよ。スゲーから」


 真鐘が俺だけに聞こえるように小声でそっと耳打ちしてくる。

 俺達は砂浜でエリアを確保した。そしておもむろに服を脱いでいく。流石に男なので俺達は速かった。

 女子組はパラソルを展開し、日焼け止めがどうたらと言っていた。


「おい松平。塗ってやったらどうだ?」


「やっ!恥ずかしいからいらない。……別にいいからっ!!」


「……逆に訊くが、真鐘は?」


「自分にはこれがあるからいらない」


 これ、というのは上着の事だ。見ると莉櫻まで同じ格好をしている。


「……身体、弱いのか?」


「いや、ただ次の日が痛そうだから」


 だ、そうだ。

 美玖の水着は結構派手な……ビキニであった。ピンク色を基調としたビキニの上部分には「LOVE」と書かれてある。そしてその上には織物として薄い水色の天使の羽衣を身に纏っていた。

 これが真鐘の選んだ水着……感想は最高の2文字しかなかった。

 その真鐘はというと上部は黒色で下部は茶色のパンツ。上着として紫色のウェアを着ていた。

 真鐘の水着からは美玖の選んだ水着が余程華美だったという事を雄弁に語ってくれていた。

 俺も莉櫻も海パン一枚(莉櫻は上着もあるが)でこれと言って特徴は無い。そして2人とも、自分の彼女に釘付けになってしまっていた。


「麗律~日焼け止め~」


「はいはい。お前らは海に行って来い」


 俺達はここでようやく、誰と、何処に、どうやって、今何をしているのかを思い出した。


「ん?ん……あぁ。行こうか潤平」


「……まだ見ていたい」


 おっと口が滑った。


「松平?何か言ったか?場合によってはもぐぞ?」


「……何でもないです。ハイ」


 ライトノベルやその他の書籍であればこのような日焼け止めのシチュエーションは物凄いサービスシーンになるのだが……。現実はそう上手くはいかないらしい。

 俺が居たかったポジションには真鐘が居り、微百合な感じがしなくもないが、真鐘の男っぽい性格を知っているためか、あまりそのような感情は沸いてこなかった。


「すぐに追いつくから。先行ってて」


 美玖に言われてしまってはしょうがない。

 俺は仕方なく莉櫻と先に海へ入ることにした。


「……泳げるか?」


「勿論。潤平は?」


「……お前よりは速いと思うぞ」


 俺はカナヅチではない。むしろ水泳は俺の数少ない得意の内の1つだ。理由は簡単。小学4年生までスイミングスクールに通っていたからである。


「勝負するかい?」


 莉櫻は結構な自信があるようで俺への挑発気味に勝負を申し込んできた。……男同士とはこんなものである。


「……ルールは?」


 どうせなら短距離で圧倒的な差をつけて終わらせたい。


「向こうにブイが見えるだろ?あれに触れて砂浜で先に立った方が勝ち……どう?」


「……了解」


 ここからブイまではざっとの計算で50m。往復するとして100m。……あれ?少しきつそうなのだが。

 俺には隠されていた力やご都合展開は無いので、自力で100mを泳がなければならない。


「準備はいいかい?」


 莉櫻は上着を脱ぎ、ゴーグルをつけ準備万端。対する俺もゴーグルをつけ準備万端。


「……あぁ」


「じゃあ、よーい」


「「スタート!!」」


 俺はありったけの空気を肺の中に収めると勢いよく地面を蹴り、良いスタートを切った。

 潜水泳法……バサロである。この泳ぎ方は息継ぎをする必要がないため、はやく進むことが出来る。

 対する莉櫻も同じ考えのようでバサロで2人ともブイを目指す。

 しかし、息継ぎをしなければ人間は死んでしまう。俺は限界一歩手前でバサロを止め、クロールへと切り替える。

 取り敢えずすべての泳ぎ方をマスターしているため多様に切り替えが可能なのだ。今が15mほどだろうか。息は上がっておらず平常。……行けるはず!

 息継ぎ途中に莉櫻を見ると彼は平泳ぎをしていた。平泳ぎは一番疲れにくいが、一番遅い。俺には勝負を捨てたようにしか見えない。

 俺が発生させる水飛沫と莉櫻が発生させる水飛沫とが心を現すかのように火花を散らしていく。

 俺は一気に加速してブイを目指した。ブイまで行って少し休憩しようと思ったからだ。同時に俺と莉櫻の幅も大きく広がっていく。

 ブイに到着すると浮き輪代わりにしがみつき、久しぶりの運動で悲鳴を上げている筋肉を休ませる。ついで乱れた呼吸を整え、帰りの50mに備える。

 莉櫻はまだ平泳ぎで速度的にはゆっくりと泳いでこちらへと向かっている。……戦略なのだろうか。少しだけ考えてみる。だが、50mで疲れていたのか満足のできる考えは浮かばなかった。


「……行くか」


 俺はポツリと独り言を呟き、再び水の中へと潜る。相手が平泳ぎならば俺の平泳ぎで充分なのかも知れない。俺はクロールから平泳ぎに変更した。

 莉櫻とすれ違う。彼の身体からは絶対に負けたくないという感情が感じられた。

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